特別免許状活用や会社員と教員の兼業 中教審部会が審議

特別免許状活用や会社員と教員の兼業 中教審部会が審議
社会人登用の課題などを検討する教員養成部会の委員ら
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 中教審初等中等教育分科会の教員養成部会は8月30日、第108回会合を開き、特別免許状や特別非常勤講師の制度を活用した、免許状を持たない社会人の登用について審議した。委員から、学校の教職員やスタッフの人材確保策として、特別免許状の活用促進や、会社員と教員を兼業できる働き方を認めることなどが提案された。

 同省によると、教員免許状を持たない社会人を教員として採用できるようにする目的で、都道府県教委が特別免許状を授与した件数は年間200件程度にとどまり、教員免許状を持たない人が教科の領域の一部を担当できる特別非常勤講師と比べると普及が進んでいない。学校が抱えるさまざまな教育課題に対応するために、外部人材の積極的な活用が求められる中、同部会では、経験豊富な社会人が学校で活躍できるようにし、教員の人材確保につなげる方策を検討している。

 この日の会合では、学校現場に社会人を人材派遣しているNPO法人や企業の委員が、取り組み事例を報告した。

 福岡県と連携し、教育に情熱を持った人材を独自採用し、2年間教員として学校に派遣するプログラムを展開している「Teach For JAPAN」の創設者である松田悠介「Crimson Education Japan」代表取締役社長は「社会人になってから教育の重要性に気付き、教員を目指そうと考えている人にとって、働きながら教員免許状を取得し、教員採用試験を受けることのハードルは高い」と指摘。

 本人への研修やサポート体制を手厚くした上で、特別免許状を積極的に与え、学校現場で活躍できるようにすべきだと強調した。

 また、社会人によるキャリア教育プログラムを学校に提供している「キャリアリンク」の若江眞紀代表取締役は「働き方改革で副業を認める企業が増えている。例えば、普段は企業で働き、週に1日だけ、教員として学校で授業を受け持つようなことも考えられる。社会に開かれた教育課程を実現するためにも、産業界と学校のマッチングを進める必要がある」と提案した。

 委員からは「小学校の英語や高校の情報科など、専門的な人材のニーズが高い教科では、特別免許状を活用していくことが考えられる。教育委員会は特別免許状の授与に慎重になってしまうが、その姿勢を変えなければいけない」「小学校での英語や教科担任制の実施を踏まえると、特別免許状の活用を進めるべきだ。外部人材の採用方法では、部活動指導員の人材確保で成功している事例などが参考になるのではないか」「兼業や副業として学校が企業から人材を受け入れる場合、教育活動の継続性に懸念がある。安定的に質の高い人材が派遣される仕組みを作る必要がある」などの意見が出た。

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