【英語民間試験】全高長緊急シンポ 学校長の不安あらわ

大学入学共通テストにおける英語民間試験の活用延期を求めている全国高等学校長協会(全高長)は10月21日、緊急シンポジウム「英語4技能の民間資格試験は混乱なく実施できるのか」を都内で開催した。校長ら約80人が参加する中、文科省や大学入試センターの担当者と英語民間試験の実施団体の関係者が登壇し、受験生や高校現場の不安について質疑応答を行った。文科省担当者の回答に会場の校長から異を唱える声が上がるなど、学校側の不安が解消しきれていない現状が浮き彫りになった。

英語民間試験に関する全高長の緊急シンポジウム

全高長会長を務める東京都立西高校の萩原聡会長は冒頭、「これまで文科大臣に対し、英語民間試験の延期と制度の見直しを求める要望を出してきたが、いまだに大臣からは回答がなく、混乱なく実施できるのか依然として不明だ」と強調。今回の緊急シンポジウムを開催した趣旨について、「文科省・大学入試センター・試験実施団体に対し現場校長からの意見を伝え、回答を得る意見交換の場として企画した」と説明した。

シンポジウムでは、全高長関係者のほか、文科省高等教育局大学入試室の錦泰司室長、大学入試センター新テスト実施企画部の辻直人部長、実施団体として英検協会、TOEFLテスト日本事務局、日本ケンブリッジ英検機構、IELTS(アイエルツ)を実施するブリティッシュ・カウンシルの担当者が登壇した。萩原会長によると、GTECを実施するベネッセコーポレーションは「5月に発表した内容を超えて説明できることはない」と不参加を表明した。東京都立八王子東高校の宮本久也校長が進行役を務めた。

席上、文科省の錦泰司室長がまず、政府の対応について、「全高長の2度にわたる要望書を重く受け止め、不安解消に取り組んできた」と説明した。

これに対し、シンポジストとして登壇したNHK解説委員の西川龍一氏は「本来の目的がなおざりになり、『やらなければいけない』という意識で進めているのでは」と問題提起。「準備期間がないのが最大の問題だ。文科省はこれまでに立ち止まって考えるべき時が何度もあった。文科省、入試センター、大学は互いに責任を押し付けあっている」と指摘した。

宮本校長は続けて実施団体に「全高長に寄せられた校長からの質問として、最も多かったのは『希望する全員が受験できるのか』だった」と投げ掛けた。各団体の担当者はいずれも「文科省が昨年度実施した調査で示された人数は全員受験できる」と回答した。

これに対し、宮本校長は「さまざまなことが分からない時点で実施された文科省の人数調査を、現場は『あてにならない』と考えている。また、公表が遅れているのは会場確保に苦労しているからだという声も多い」と懸念を表明。英検協会以外の実施団体は「11月1日までに詳細を公表する」と述べ、英検協会は「予約申し込みに応じて確保できるとみている」と応じた。

萩原校長は、現在の高校3年生の扱いについて多くの高校が悩みを抱えているとして、「精神的に厳しい時期にある生徒に『不合格だったときのために』と共通IDを取らせることは難しい。現時点ではどのようなスケジュールになっているのか」と質問。入試センターの辻部長は「12月2~10日に学校単位で申し込めば、2月中旬に発行できる見通しだ」と応えた。

萩原校長は続けて実施団体に「2月中旬の時点で共通IDを持たない現高3生は、英語民間試験を申し込めないのか」と投げ掛けると、団体側は「後からIDを登録するシステムは想定していない」と回答。萩原校長が「2月中旬ではまだ現高3生は受験の真っ最中だ。3月中旬の申し込みで英語民間試験は受けられないのか」と重ねて尋ねると、団体側は「受験できる」と答えた。

全高長で大学入試対策委員長を務める都立世田谷泉高校の石崎規生校長は「文科省が昨年、各自治体に『公共施設を会場として使用できるようにしてほしい』と依頼した際には、『公民館などを想定しており、高校を会場として提供してほしいということではない』との説明があった」と水を向けると、文科省の錦室長は「団体から借用依頼があった場合は学校も対応してほしい」と回答。

これを受け、石崎校長は「ベネッセコーポレーションは当初、高校は使用しないとしていたが、その後『高校も会場にする』と変更し、『自校を希望する受験者を優先させる』と説明した。ケンブリッジ英検やTOEFLも高校を会場とする。これは不公平にあたるのではないか」と指摘した。

文科省の錦室長は「高校生にとってアクセスしやすい会場であることを重視している」と具体的な対応について言及を避けると、会場の校長から異を唱える声が上がった。


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