子供の便秘発症のリスク要因 富山大が世界初の縦断研究

中学生の便秘の原因は果物摂取量の少なさや心理ストレスに加え、朝食を抜くことや運動不足でもリスクが高まる――。富山大学学術研究部医学系疫学健康政策学講座の山田正明助教、関根道和教授らは、富山県内の子供を対象にした縦断調査を用いて、便秘発症のリスク要因を明らかにした。縦断調査を用いて子供の便秘の発生リスクを突き止めた研究は世界初となる。調査を行った山田正明助教は2月17日までに、教育新聞の取材に応じ、「コロナ禍で子供の便秘の危険は増えている」と警鐘を鳴らした。

子供の便秘発祥の原因(山田助教提供)

これまで、子供の便秘の原因は、野菜や果物などの食物摂取不足、運動不足、心理的ストレスとの関連が指摘されていたが、これらの研究は全て便秘になった子供とそうでない子供を比較した横断研究によるもので、「どんな子供が便秘を発症しやすいのか」という発症リスクに着目した研究は行われていなかった。

そこで、山田助教らは1989年生まれで、3歳のときに県内に在住した全ての子供(約1万人)を対象に、生活習慣や家庭環境と健康への影響を定期的に追跡調査した「富山出生コホート調査」のデータを活用。対象の子供が小学4年生のときに行った第3回調査と、中学1年生のときに行った第4回調査を基に、条件を満たす5540人のデータを分析した。

調査分析を行った山田正明助教(本人提供)

その結果、中学1年生までの3年間に、全体の4.7%(男子2.7%、女子6.8%)が、排便が3日に1回以下の便秘を新たに発症していた。その3年間の生活の変化を見ていくと、便秘の発症には、果物の摂取不足、心理的ストレスが多いことに加え、小学生のころから朝食を抜くようになったり、運動する習慣がなくなったりしたことが、便秘のリスクを有意に上昇させていたことが分かった。

この調査結果を踏まえ、山田助教は「生活習慣の変化が便秘のリスクを高めることが初めて分かった。学校でも、規則正しい生活や朝食を毎日食べることを呼び掛けてほしい。学校のない日は生活リズムが崩れがちになるが、1時間以上はずらさないようにすることなどが大切だ。調査の成果を学校の保健指導にも役立ててもらえたら」とアドバイス。「特に、コロナ禍になって運動不足や不規則な生活になる子供が多くなっており、便秘の危険は増えている」と懸念を示した。

この調査結果は1月に発行された英国の公衆衛生の論文誌『BMC Public Health』に掲載された。


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