デジタル教科書「紙との併用も視野に」慎重対応 文科相

2024年度から本格導入が見込まれているデジタル教科書と紙の教科書の関係について、萩生田光一文科相は3月16日の閣議後会見で、「紙との併用も視野に入れながら、実証研究を続けていきたい。24年度までに完全移行するのが前提ではない」と述べ、24年度以降も紙の教科書を併用しながら導入を進めていく考えを明確にした。さらに「デジタル教科書の普及・促進や検討に対しては、一歩一歩着実にスモールステップで進めることが重要。慎重な対応をしていきたい」と、段階的に利活用を進めることに理解を求めた。

デジタル教科書の導入について説明する萩生田文科相

デジタル教科書を巡っては、文科省の検討会議が今年2月22日に中間まとめ案を公表。学校教育の質を高めていくためにデジタル教科書の活用を一層推進する必要があるとして、24年度を本格導入する最初の契機と捉えるべきだと指摘。紙の教科書とデジタル教科書の関係については、全国的な実証研究や関連分野の研究成果を踏まえ、財政負担も考慮しながら、今後の検討が必要と表現している。

こうした検討会議の議論を踏まえ、萩生田文科相は「当面は(デジタル教科書の)良い面、難しい面、悪い面をしっかり見ながら、紙との併用も視野に入れ、実証研究を続けていきたいというのが、正直なところ。24年までに完全移行するという前提でないことだけは、ご理解いただきたい」と説明。「デジタル教科書の普及促進や検討に対しては、一歩一歩着実にスモールステップで進めることが重要だと思っている。慎重な対応をしていきたい」と語った。

デジタル教科書の導入については、コロナ禍が広がる中、GIGAスクール構想の前倒しによる1人1台端末の年度内整備が今年度補正予算に盛り込まれ、文科省は昨年7月、次の小学校用教科書の改訂時期である24年からデジタル教科書を本格的に導入する方針を表面化させた。

続いて、デジタル社会の推進を掲げる菅義偉内閣が誕生し、平井卓也デジタル改革相は昨年10月、紙の教科書を原則としてデジタル教科書に移行して無償化の対象とするよう、萩生田文科相に提案。デジタル教科書に関連する規制の撤廃を求める声も高まり、文科省は、学習者用デジタル教科書の使用を各教科等の授業時数の2分の1に満たないこととしていた使用基準を撤廃し、学校現場でデジタル教科書を活用する際のガイドライン(2018年12月策定)の改訂を決めた。

文科省では、来年度予算案に学習者用デジタル教科書を小学5年生から中学3年生まで、全国の約6割の学校で1教科ずつ導入する普及促進事業を盛り込んでおり、全国規模で実証研究を進める考え。

萩生田文科相が、デジタル教科書について「紙との併用も視野に入れながら」「慎重な対応をしていきたい」と段階的に取り組む考えを明確にしたことは、昨年から強まってきたデジタル教科書の利活用を推進し、紙の教科書からデジタル教科書への移行を促す動きに対し、軌道修正を迫ることにもなりそうだ。

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