【デルタ株危機】教育機関での対策 国立感染研が提言

 新型コロナウイルスの子供への感染が増えていることを背景に、国立感染症研究所は8月25日、厚労省に専門的な助言を行う「新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード」の会合で、クラスターに共通する所見を示し、乳幼児から大学生までを対象とする教育機関・福祉施設での感染対策を提言した。

 まずデルタ株を念頭に、クラスターに共通すると思われる代表的な所見として▽特に小学生を中心とする授業の場で、教職員を発端とした、比較的規模の大きなクラスターが複数発生した▽小学校において、児童を端緒とした、同じクラス内などの規模の小さな感染伝播は多く見受けられたが、児童間の感染伝播が規模の大きなクラスターに至ったケースは確認できなかった――と指摘した。

 また中学生以上では「部活動・寮生活において、適切なマスク着用や身体的距離の確保などの感染予防策の不十分な生徒・学生間の長時間にわたる交流が、感染伝播に寄与していた。特に部活動などにおいて、最近は大会や遠征時のクラスターが複数発生した」とした。さらに「特にデルタ株流行後、小児から家庭内に広がるケースが増えている」と説明した。  これを踏まえ現場での対策として、換気の徹底と体調の確認などのほか、文化祭・体育祭など密になるリスクの高いイベントの延期・中止や、ICTの活用、教職員の積極的なワクチン接種などを挙げた。

 また部活動については、県境をまたいだ遠征が必要な場合、体調把握や行動管理をいっそう強化し、出発前3日以内をめどに検査を受けることを提案した。

 今回、提案された項目は次の通り。

初等中等段階ではやむを得ず学校に登校できない児童生徒などに対する学びの保障を確保することを主目的として、加えて高校・大学ではオンライン(オンデマンド)の促進により、理解をより高める側面を含めて、ICT などを活用した授業の取り組みを進める。

教職員(塾を含む)それぞれが新型コロナウイルスの感染経路に基づいた適切な予防法、消毒法について習熟し、園児・児童・生徒・学生、保護者、自施設に出入りする関係者に対して正しく指導できるようにする。

上記を目的とした、地域の感染管理専門家(感染管理認定看護師など)からの指導/協力を仰ぐ体制を構築する。

教職員、園児・児童・生徒・学生は、全員が出勤・登園・登校前の体調の確認、体調不良時のすみやかな欠席連絡および自宅待機時の行動管理をより徹底する。中学生以下の有症時には受診を原則とする。

各施設の健康管理責任者は、当該施設の教職員、園児・児童・生徒・学生が新型コロナウイルスの検査対象になった場合の情報を迅速に把握する。対象者の検査結果判明まで、範囲を大きく、例えばクラス全体として、園児・児童・生徒・学生・教職員などに対して感染予防に関する注意喚起を厳重に行う。

対象者が陽性となった場合の施設の、スクリーニング検査の実施と施設内の対策は、保健所からの指示に従う。

流行状況などによって、保健所による迅速な指示が困難な場合には、クラス全体など幅広な自宅待機と健康観察、有症状時の医療機関への相談を基本に対応する。体調確認アプリや抗原定性検査の活用は、施設における発生時の自主的な対応として有用である。

教室、通学バス(移動時全般)、職員室などにおける良好な換気の徹底に努める。施設内では、効率的な換気を行うための CO2センサーの活用も推奨される。

塾では児童・生徒・学生・講師などの体調管理を徹底した上で、密にならない工夫とともに換気の徹底(特に入れ替わり時。場合によって CO2 センサーの活用)、リモート授業の活用も検討することが推奨される。

人の密集が過度になるリスクが高いイベント(文化祭、学園祭、体育祭など)においては延期や中止を検討し、感染リスクの低い、あるいはリスクを低減できると考えられたイベントについては事前の対策を十分に行う。

教職員は、健康上などの明確な理由がなければ、新型コロナワクチン接種を積極的に受ける。

部活動については日々の体調の把握や行動管理への注意を基本とした活動を行う一方で、やむを得ず県境をまたいだ遠征が必要な場合には、2 週間前から引率者、児童・生徒における上記注意事項の遵守を強化し、出発前 3 日以内(できるだけ出発当日)を目途に、抗原定量検査あるいは PCR 検査を受ける。

大会遠征時には教職員を含む引率者や児童・生徒ともに、競技外での他校との交流は部活動の範囲に留める。

これまで以上に保健所との連携(報告や相談)を強化する。保健所が多忙を極める場合、特に発生時の対応については、国立感染症研究所実地疫学研究センターは保健所と連携を取りながら施設へ助言を行うことも可能である。

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