【デルタ株危機】臨時休校のガイドラインを明確化 文科省通知

 新型コロナウイルスの猛威が続く中、保健所の業務がパンク状態となり、休校判断の前提となる濃厚接触者の特定など保健所の対応が遅れる懸念が出ていることから、文科省は8月27日、児童生徒や教職員に感染者が確認された学校が、保健所の調査を待たずに、学級閉鎖や全校休校を判断するためのガイドラインを都道府県の教育委員会などに通知した。それによると、複数の児童生徒が感染するか感染の疑いがある場合には学級閉鎖を行う。複数の学年を閉鎖するなど学校内で感染が広がっている可能性が高い場合には、保健所の調査や濃厚接触者の特定ができていなくても、臨時休校を実施するよう求めている。萩生田光一文科相は同日の閣議後会見で「非常時にあっても、児童生徒の学びを止めないという観点から、確実に取り組んでいただきたい」と述べた。

臨時休校のガイドラインを説明する萩生田文科相

 通知では、まず、児童生徒や教職員に感染者が発生した場合に、学校が校内の濃厚接触者などの候補者リストの作成に協力することを想定。濃厚接触者の候補として▽感染者と同居または長時間の接触があった者▽適切な感染防護なしに感染者を介護していた者▽感染者の飛沫 (くしゃみ、咳、つばなど)に直接触れた可能性の高い者▽手で触れることのできる距離(目安として1メートル)で、 必要な感染予防策なしで、感染者と15分以上の接触があった者――を挙げた。

 また、濃厚接触者周辺の検査対象となる者の候補として▽感染者からの物理的な距離が近い、または物理的な距離が離れていても接触頻度が高い者など(感染者と同一の学級の児童生徒など)▽大声を出す活動、 呼気が激しくなるような運動を共にした者など(感染者と同一の部活動に所属する児童生徒など)▽感染者と食事の場や洗面浴室等の場を共有する生活を送っている者など(感染者と同一の寮で生活する児童生徒など)▽その他、感染対策が不十分な環境で感染者と接触した者など――を挙げた。

 こうした候補の速やかな特定が困難な場合には、判明した感染者が1人であっても、原則として感染した児童生徒が属する学級の全てをクラス単位で検査の対象とすることを促している。

 次に、学級閉鎖や臨時休校を判断するガイドラインを示した。まず、学校設置者に対し、緊急事態宣言対象地域やまん延防止等重点措置区域を想定して、学校内で感染が広がっている可能性が高い場合に臨時休校を行う範囲や条件を事前に検討し、公表しておくことを要請。

 続いて、学級閉鎖、学年閉鎖、臨時休校を判断する具体的な例を挙げた。

 それによると、学級閉鎖や臨時休校の期間について、濃厚接触者の特定や検査結果によって感染の全体像を把握し、校舎内の清掃や消毒などに必要な期間として数日から1週間程度としている。ただ、症状発症までに最大14日、 多くは5日と長く、すでに感染が顕在化した時点で学級閉鎖や臨時休校をしても、感染がさらに広がる可能性があることに留意することも明記している。

 学級閉鎖を判断するガイドラインとして▽同一の学級で複数の児童生徒の感染が判明した場合▽感染が確認された者が1人であっても、周囲に未診断の風邪などの症状を有する者が複数いる場合▽1人の感染者が判明し、複数の濃厚接触者が存在する場合▽その他、設置者で必要と判断した場合――を挙げた。学級閉鎖の期間としては、5~7日程度を目安に、感染の把握状況、 感染の拡大状況、児童生徒への影響を踏まえて判断するよう求めている。

 学年閉鎖は、複数の学級を閉鎖するなど、学年内で感染が広がっている可能性が高い場合に実施する。学校全体の臨時休校に踏み切るのは、複数の学年を閉鎖するなど、学校内で感染が広がっている可能性が高い場合とした。

学校内で感染者が判明したときの対応。右側が保健所がパンク状態になった地域でのフローとなっている。

 萩生田文科相は「最終的な濃厚接触者を学校が決めるのは無理な話なので、最後は保健所の判断を仰ぐことになる。しかしながら、今は残念ながら、『陽性者が出たから濃厚接触者を指定してほしい』と言っても、直ちにその対応ができない自治体が増えている。(保健所の対応を)待っていたら、どんどん時間がたってしまうので、学校現場が判断しやすくなるものを厚労省と連携して準備した」と、通知の狙いを説明。

 さらに「1人の子どもが発症した場合に、例えば中学生だったら放課後の部活動の仲間もいるし、隣のクラスの子どもと朝夕登校を共にしていることもある。そういうヒアリングについて、保健所を待たないであらかじめ学校でチェックしてもらい、先に進めておく準備をしたい」と述べ、感染者が出て、保健所の対応に時間がかかる場合には、学校現場が率先して感染者からのヒアリングを行うなど対応を行うよう求めた。

 萩生田文科相は8月20日の記者会見で、国から全国一斉の臨時休校を要請する考えがないことを改めて表明。地域一斉の臨時休校についても、文科省は同日付の事務連絡で「慎重な検討が必要」とする従来の考えを再確認した。学級閉鎖や臨時休校については、それぞれの学校が個別に判断するよう求めている。

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