公立高校の定員内不合格を初調査 全国で延べ1631人

公立高校の定員内不合格を初調査 全国で延べ1631人
iStock.com/metamorworks
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 高校入試で定員割れを起こしているにもかかわらず入学できない受験生がいる「定員内不合格」が、2022年度に全国の公立高校で延べ1631人いたことが12月27日、文科省の調査で分かった。文科省が定員内不合格の数を調べたのは今回が初めて。定員内不合格がいない都道府県から、多いところでは100人を超えているなど、都道府県によって差があり、定員内不合格の数を把握していない県も複数あった。

 定員内不合格を巡っては、障害のある生徒が高校を受験した際に、定員を受験者数が下回っているにもかかわらず不合格とされることで、浪人を余儀なくされるケースが各地で報告されており、国会でも取り上げられるなど問題視されていた。

 都道府県の公立高校の入試の実施・改善状況を調べるため、22年7~8月に行った22年度の「高等学校入学者選抜の改善等に関する状況調査(公立高等学校)」で、文科省は22年度の公立高校入試における定員内不合格を初めて調査。その結果、22年度の公立高校入試における定員内不合格は延べ1631人、そのうち、最終日程で実施される入試で定員内不合格となったのは延べ505人だったことが分かった。

 定員内不合格の延べ人数が多い都道府県では、宮城県(108人)や山口県(131人)、高知県(182人)、福岡県(148人)など、100人以上というところもある一方で、0人としている都道府県もあるなど、ばらつきが大きい。また、青森県、山形県、福島県、群馬県、佐賀県などは「把握していない」と回答していたことから、実態はさらに多い可能性がある。

 調査では定員内不合格に関して高校に対し行っている取り組みについての都道府県の回答も紹介されており、「出願者が募集人員に満たない場合は、特別の支障がない限り全員を入学させるよう配慮することについて通知している。なお、高等学校において定員内不合格を出す場合には、教育委員会に対し、協議に準じて相談することとしている」(北海道)や「事前に、文書や口頭で原則として定員内不合格を出さないように通知している」(奈良県)など、定員内不合格を原則として出さない方針をあらかじめ高校側に示しているところや、「定員内不合格となった理由の聞き取りを行っている」(広島県)など、定員内不合格が出た高校の校長に理由をただしているところもあった。

 調査を行った文科省初等中等教育局参事官(高校担当)の担当者は「今回の調査結果については、都道府県教育委員会に対し、域内の学ぶ意欲を持った中学生の進学先が確保されているか改めて分析するとともに、今回の調査結果から今後の域内の高校政策の検討に生かしてほしいと伝えている」と話す。

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