【今、教員に必要な「コーチング」とは(4)】「教える(teaching)」から「気付きのきっかけ(coaching)」へ

【今、教員に必要な「コーチング」とは(4)】「教える(teaching)」から「気付きのきっかけ(coaching)」へ
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 今回は「教える(teaching)」から、「気付きのきっかけ(coaching)」へのシフトについてお伝えします。子どもたちの視点で考えれば、「教わる」から「自分で気付く」へのシフトについてです。

 あなたは、これまで教わったことをどれだけ覚えていますか?特に、自らが望んで教わったことでなく、反復することもなければ、すぐに忘れてしまうのが現実です。

 教わることが外側からのインプットであるのに対し、気付くことは内側で起こるアウトプット。まるで、頭の中で電球マークが「ピコン!」と音を立てて生まれるかのようです。自らが気付き、そこから学んだことや得たことは、そう簡単に忘れることはないでしょう。

 私自身これまでに何度か、長年握りしめていた自分の価値観がひっくり返るような「気付き」が起こり、自分の世界が大きく広がった経験があります。気付くきっかけは、外側にありました。

 それは「問い」かもしれませんし、「言葉」「本」「音楽」かもしれませんし、「人」の存在かもしれません。いずれにせよ、人の可能性が広がるとき、そこにあるのは「内側にある想い」と「外側からのきっかけ」です。それこそが、これから必要となる「気付きのきっかけ(coaching)」なのです。

 教育の過程では「教える」ことは重要です。なぜなら、知らないことがたくさんあるからです。学年が低いほど、知識・経験・情報が少なく、教えることが多くなるのは当然のことです。その子の中にないものは外から渡してあげたらいいですし、生きていく上で必要なことを教えるのも大人の役割です。

 ただし、成長とともに「教える」だけでは、うまくいかなくなることがあります。それはなぜでしょうか?世の中には、人には教えられないことがあるからです。

 「答えは、自分の中にある」という言葉の通り、自分だけの正解は、自分だけが知っています。「どんなことが好き?」「どんな自分になりたい?」「なんのためにやりたい?」などの問いへの答えは自分の外側にはありません。

 ただ、その答えに気付いていないことも少なくありません。だからこそ「教える(teaching)」から「気付きのきっかけ(coaching)」へシフトすることが必要です。教えるだけでは答えが見つからないこともあるし、誰かの正解を自分の正解だと勘違いしてしまうこともあるからです。大人の正解を無意識のうちに、子どもたちに押し付けてしまうこともあるでしょう。

 以前、息子と塗り絵をしていた時のことです。迷いなくアンパンマンを赤と茶で塗り始めた私の横で、3歳の息子が青く塗り始めました。「青で塗りたい」が、彼の答えだったのでしょう。

 子どもたちの可能性は、無限大ですね!

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