【今、教員に必要な「コーチング」とは(6)】「感情」は心の声

【今、教員に必要な「コーチング」とは(6)】「感情」は心の声
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 今回は、コーチングを進めていく上で忘れてはいけない大切な「感情」についてお伝えします。

 過去の記事でもお伝えしましたが、コーチングでは「どうやるか」のやり方ばかりについ意識が向きがちですが、大切なのは「どんな自分になりたいのか」「その時の自分はどんな気持ちなのか」を問うことです。行動や事象だけではなく、「人」に焦点を当てるのです。そのためには「今どんな気持ち?」といった具合に「感情」を聴くことが重要になります。

 例えば、学年の始まりに「この学年が終わる頃、どうなっていたい?」とGoalを尋ねることはないでしょうか。そう聞くと、子どもたちからは「〇〇ができるようになる!」という答えが返ってきそうですが、もしそれができるようにならなかったら、望む自分は手に入らないのでしょうか。

 例えば、「テストで100点を取る」というGoalを設定した子どもがいたとします。この時にイメージしたいのは「100点を取ること」ではなく、「100点が取れる自分に成長すること」です。

 そんな時は、一緒に未来を描きながら次のように聴いてみてください。

 「そのときのあなたは、どんな気持ち?」

 「どんな表情をしている?」

 「どんなあなたならそれができそう?」

 「どうしてそう思うの?」

 この時、子どもたちがどんなに無謀なGoalを掲げたとしても、否定をすることなく一緒にワクワクを思い描いてください。なぜなら、できるかどうかを決めるのは、私たち大人ではないからです。私たちがすべきは、子どもたちを信じて応援すること。もし、理想のGoalと現状のギャップが激しいときは、ベイビーステップで進めていけばいいだけなのです。

 とはいえ、Goalに向けた「感情」が伴わない場合もあるかもしれません。その場合は、本人の望むGoalではなく、「こう言った方がいいだろうな」など、誰かの求める正解を答えている可能性があります。これらはGoal設定の話に限らず言えることです。

 また、「どうなりたいか分からない」「やりたいことが分からない」といった答えが返ってくることもあるかもしれません。そんなときは「そっか、そうなんだね。もしよかったら今の気持ちを教えてくれる?」と、聴いてみてください。そこには、本人も気付いていない本音が隠されていることがあります。

 「~せねばならない」は、「思考」であり「頭の声」であり、誰かの望む正解かもしれません。一方で「~したい」は、「感情」であり「心の声」であり、自分自身の本音なのです。そして「感情」が伴えば、自然と目標に向かって行動したくなるものです。

 よかったら、あなたも自分自身に聴いてみてください。「今どんな気持ち?」と。

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