前回も解説した「枠組みを捉え直す」の3つ目は、「動かしてみて考える」こと。ボクが教員時代、陥っていた悪い癖は計画し過ぎることだった。学習指導案を書き、研究授業もたくさんやってきたが、計画通りに進めようと必死になり、失敗したことは一度や二度じゃない。計画が大き過ぎて頭でっかちになり、授業が始まってからはやることに追われて、こなしてしまいがちになった。
生きた子どもたちを相手にしている以上、始めてみないと見えてこないことは本当に多い。大切なのは、計画より実行に比重を移し、「動かしてみてから考える」にシフトしていくこと。あなたはできているだろうか。
実際にボクは今ではほとんどの授業を、インストラクションを最小限にとどめて子どもたちの様子を観察することから始めている。様子を見たり、質問したりしているうちに、感触が分かってくる。その場で資料を作ることもあるし、「今のところ順調?」と振り返りを挟むこともある。学習上の問題点を洗い出し、その場で資料を作り替えることすらある。そう、まずは動かしてみるんだ。
機械のように、1が終わったら次は2、その次は3という感じで進んでいけばいいが、実際の学校現場はそうじゃない。途中で問題も起こるし、新しい発見があることだってある。
昨年度、ヒミツキチ森学園で行ったラーニングプロジェクト「SARUSHIMA QUEST」では、神奈川県横須賀市の猿島を舞台に、学園の子どもたちが企画した小学生向けイベントを2日間にわたって実施した。猿島を管理する会社や横須賀市とやりとりをするわけだから、当初の計画通りにはいかないことも多かった。決めて準備していたことが、向こうとの話し合いで白紙に戻ることもあった。
「え!あんなに考えたのに!?」という声もあったが、「外部と進めていく上でこういうことはある。みんながその場のベストを尽くそうとしても、想定通りいかないことが生まれる」と冷静に伝えると子どもたちは落ち着き、代案は何にするかに目を向けていた。
プロジェクトが大きくなればなるほど、想定通りにはいかない。計画を捨てる覚悟だって必要になる。だから動かしてみてから考えるのがセオリーになる。
動かしてから考える際は、
の3つを大事にしたい。
計画したものに沿って実行するのではなく、教室に流れている「今」を感じ取り、その場で考え、次の一手を打っていく。それができるようになると、学校での先生の日々も、想定外の出来事すら楽しくなるはずだ。