前回、「ミドルリーダー」とは、ある時期、ある局面で限定的に背負うこともあり、年間を通して誰もが背負う可能性が高いと述べました。今回は、そんなミドルリーダーがどのように「ハブ」として機能すべきかについて考えてみましょう。
ミドルリーダーを「管理職と担任とをつなぐハブ」とするとき、そこには多種多様な情報が飛び込んできます。私は前任校で研究主任をしていましたが、管理職などから「誰が校内研の授業を引き受けるか悩ましい」と相談を受けたり、若手育成を要求されたりすることもありました。このような場合、指導主事の先生とのやりとりや、教務主任の先生との日程調整も必要になります。研究部メンバーに手伝ってもらう手続きもしなければなりません。
それらの情報をいったん受け止め、それぞれをつなぎ合わせたり、変換して送り出したりしなければならないのが、「ハブ」という役割です。そのキーワードとして「提案と調整」が挙げられます。
ミドルリーダーという役割を担うとき、職員会議や分掌主任会議・学年主任会議の場で、何か「提案」すべき状況が生まれます。そして、それら提案事項を各学年や担当者に下ろす際、「調整」が必要になります。
それぞれの役割に対して負担がかかり過ぎないような配慮が求められ、それでも提案するなら「根回し」や「打診」が必要になります。書面上は書かれないやりとりが行われた上で「提案」することが必要なのです。
しかし、「ミドルリーダー」という言葉を「権限」と履き違えて提案してしまっては、正論や個人的事情だけを押し付けることになり、ハブとして機能しません。根回しや打診とは別に「調整」が重要なのですが、またの名を「思いやり」と私は言っています。
先生方を困らせ、負担感を背負わせるような提案には「思いやり」がありません。「ハブ」としてそれぞれの先生方の「出力値」を把握し、かみ合わせる術が大切です。
先生方のキャラクターは、人それぞれです。性別の違いや経験年数の差もあります。人前に出ても大丈夫な人、負荷を楽しめる人、裏方の方が力を発揮できる人など、仕事における適性があります。
それらをミドルリーダーとして把握し、どう采配するかに「思いやり」が表れると考えています。全体のバランスを考えながら、誰もが効力感を得られるよう調整するのです。
校内研の事後交流会であれば、研究主任としてのファシリテーションが「思いやり」を発揮する場だと考えています。
皆さんの提案には、「思いやり」という名の「調整」が存在しているでしょうか。正当性を突き付ける「提案」や、全員平等という名の「正しさ」だけが溢れ出ていないでしょうか。
職員を守るミドルリーダーとして、意識したいポイントです。