前回は、人を頼ることや休むことの大切さを子どもたちに伝えていきたいということを書きました。これは子どもだけでなく親も同じだと思います。
「毎晩、明日はちゃんと学校に行けるかなと不安になります」
「仕事をしていても、ずっと頭の中で子どものことを考えていて、いつの間にか涙が出ているんです」
そんな声がたくさん届きます。恐らく、親になった瞬間から今までずっと自分のことは横に置いて、何よりも子どものために一生懸命に頑張ってきた親御さんがほとんどなのではないでしょうか。
親として自然なことなのかもしれませんが、親も元は一人の人。完璧ではありません。子どもも言ってしまえば他人です。四六時中、他人のことを優先して考えて動き続けるなんてことはできるはずがないんです。
でも、それが当たり前になってしまっているので、これを読んでいる親御さんも「んー、これが普通だし」と思われるのではないでしょうか。はっきりとお伝えします。世の中の99%の親御さんは頑張り過ぎています。
1週間のうち一人でお茶する時間を1時間でも取れている方はいるでしょうか。1カ月に1回でもまとまって半日以上の時間、自分の好きなことや趣味のために時間を使っていますでしょうか。「そんなことできるはずないじゃん」という声が聞こえてきそうです。それが、もう頑張り過ぎている状態を示しているのです。
子どもが安心して過ごすため、心が回復していくためには、周りの支援者がゆとりを持って関わることが何より大切です。親も先生も相談支援員もそうです。日々余裕がなく、今後のことに不安を強く感じ、顔がこわばっている状態で「大丈夫だよ」なんて言っても子どもが安心できるはずがありません。
「私が頑張らないと」ではなく「私も楽しまないと」に変換してみてほしいと思います。子どもと離れて何かに没頭できる時間をつくる。すると自然と余裕ができ、普段と違った視点で子どもを見ることができるようになります。
そして何より、親が楽しそうにしているのを見ると、子どもが安心します。「自分が不登校になってからお母さんは元気がない。自分のせいなのかな…」と自分を責める子も実は多くいるのです。親が楽しそうに過ごしていたら、それだけで一つの悩みは解消します。親が親としてではなく、一人の人間として自分の生活に目を向けることで、それが間接的に子どもの安心につながるんです。
親が子どもに幸せでいてほしいと思うように、子どもも親に幸せでいてほしいと思っています。親も自分自身のための時間をつくることをお勧めします。