前回は、「心理的安全性AWARDシルバーリングの受賞」についてお伝えしました。今回は、「教師のツールキット」について考えていきます。
チームに心理的安全性をつくる際に大きいのは、「リーダー」の存在です。学級で言えば、初期段階ではほぼ必ず教師がリーダーとなるでしょう。
エイミー・C・エドモンドソンは、心理的安全性をつくるリーダーについて、「心理的安全性を生み出し強固にすることは、組織のあらゆるレベルのリーダーの責務である」と、述べています。
教師のリーダーシップによって、学級がうまくいくかどうかが変わってしまいます。そもそも教師のリーダーシップとは、端的に言えば、「子どもたちの成長に対して影響を与える能力」のことで、立場によるものではありません。そして、リーダーシップには、意思決定やコミュニケーション、問題解決能力など多くの要素が含まれますが、学ぶことが可能なスキルとも言われています。
心理的安全性を高めるためには、このリーダーシップに柔軟性が必要です。柔軟性のあるリーダーシップとは、「学級や子ども一人一人の状況やニーズに応じてその在り方を調整する能力」だと考えています。子どもたちの多様性を理解し、尊重することが大切です。さらに、新しい教育技術などを取り入れながら変化に対応する柔軟性も必要です。
さらに、エドモンドソンは、心理的安全性をつくるリーダーについて、「心理的安全性は、相互に関連する3つの行動によって生み出される。その行動とは、土台をつくる、参加を求める、生産的に対応する、の3つである」と、述べています。そして、リーダーシップのためのツールキットを提案しています。
図は、上述したツールキットを基に筆者が作成した「教師のツールキット」です。「土台をつくる」「参加を求める」「生産的に対応する」の3つの行動を心掛け、実践することによって、学級に心理的安全性を築き上げていきます。どれか一つが欠けても、心理的安全性を高めることは難しいでしょう。
教師自身の努力も大切ですが、自身の在り方に対する日々のリフレクションも大切です。そのための手段として、このツールキットを活用することをお勧めします。その日一日の教師としての言動を具体レベルで振り返ることができれば、自身の成長にもつながっていくことでしょう。