【教採キーワード―調べ確認してみよう(8)】教員研修の義務と機会

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教員研修の義務、教員育成指標と研修計画

 教育基本法では、第9条で「法律に定める学校の教員は、自己の崇高な使命を深く自覚し、絶えず研究と修養に励み、その職責の遂行に努めなければならない」と定めている。これを受けて教育公務員特例法第21条では、「教育公務員は、その職責を遂行するために、絶えず研究と修養に努めなければならない」とするとともに、任命権者らは研修の計画を作成し実施することを次のように定めている。

 「2 教育公務員の研修実施者は、教育公務員の研修について、それに要する施設、研修を奨励するための方途その他研修に関する計画を樹立し、その実施に努めなければならない」

 研修計画は、文部科学省が定める「指針」を参酌し、任命権者が定める校長及び教員としての資質向上に関する「指標」を踏まえて作成することとされている。ここで文科省が定める「指針」は教育公務員特例法第22条2において、任命権者が定める「指標」については同第22条の3で定めている。「指針」は、「教職に必要な素養」「学習指導」「生徒指導」「特別な配慮や支援を必要とする子供への対応」「ICTや情報・教育データの利活用」の5つに区分されている。任免者の定める「指標」は、これら5つを踏まえ、養成段階及び採用後を3~4のキャリアステージに分け、それぞれのステージごとの資質像を示している。

 一方、教育公務員特例法の一部改正により、2023年度から、校長および任命権者は、教員および校長の研修の受講などの記録を作成すること、また、校長および教員の資質向上のために指導助言を行うことが明確にされた(同法第22条の5、6)。

研修の種類と法定研修

 教員研修には、職務として行う研修と、校長の承認を得て勤務場所を離れて行う研修、勤務時間外の自主研修がある。職務として行う研修には、教育公務員特例法で実施を定める法定の研修と任命権者等が実施する経験や職能に応じた研修がある。

 法定研修には初任者研修と中堅教諭等資質向上研修、指導改善研修がある。初任者研修は、教育公務員特例法第23条において、採用の日から1年間、指導教員の下で実践的な研修を受けることとされている。実際には校内研修と教育センター等で行う校外研修の時間数、日数を定めて実施されている。

 中堅教諭等資質向上研修(同法第24条)については、中堅教諭等としての職務遂行に必要とされる資質の向上を図るために研修を行うとされている。

 指導改善研修(同法第25条)とは、「指導が不適切であると認定した教諭等に対して、その能力、適性等に応じて、当該指導の改善を図るために必要な事項に関する研修」のことであり、任命権者が実施する。

 これらのほかに、専修免許状の取得を目的とする場合、任命権者の許可を受けて、3年を超えない範囲内で年を単位として大学院等で当該課程を履修するために休業することができる。この大学院修学休業の期間、地方公務員の身分を保有するが職務には従事せず、給与は支給されない(同法第26条、27条)。

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