教師が子どもをコントロールしようとするマインドを手放す――。このことが令和型学級経営において大切です。この重要なヒントが、実は「学級づくりが難しい」と呼ばれる学校にあったのです。
私は学級づくりが難しいとされる小学校に10年以上勤務してきました。いわゆるその地域の教員から「教育困難校」と呼ばれることが多い小学校です。初めてその学校に赴任した時、私はルールを守らない子どもたちは厳しく叱るべきだと考えていました。でも、叱れば叱るほど学級の雰囲気は悪くなり、子どもたちとの関係性も正直なところうまく構築できていませんでした。転機が訪れたのは赴任から3年目、前年度に大荒れした5年生の担任を任された時です。
始業式の日から子どもたち同士のトラブルが絶えず、学級開きの途中で教室をエスケープする子どもたちが続出しました。教室はがらんとし、気持ちは沈みました。それから、私は気合いを入れて「駄目なことは駄目」と厳しく注意をするようにしましたが、子どもたちは逆ギレするばかりで関係性はどんどん悪化していきました。そこで私は考え方を変えました。「問題行動に対して注意はするが深追いはしない」「他人に迷惑を掛けない」の2つを徹底することにしたのです。
この新しいアプローチは驚くほど効果的でした。学級の雰囲気は次第に落ち着きを取り戻し、私に反抗的だった子どもたちとの関係も少しずつ良好になっていきました。ルールを守らせることに固執し過ぎていた私にとって、これは大きな学びでした。「問題行動に対して注意はするものの深追いしない」「他人に迷惑を掛けない」以外のルールはあまり気にしない。そうすることで、私自身が余裕を持って子どもたちに接することができるようになったのです。
その結果、子どもたちを不必要に叱ることが減り、良好な人間関係を築けるようになりました。また、人を傷つけないという基本的なルールを徹底することで、学級内に秩序も生まれました。細かなルールが学級の秩序を成り立たせる上で必要だと考えていた私にとって、まさに目からうろこの経験でした。
令和の今、従来のやり方では学級づくりがうまくいかなくなってきています。だからこそ、この経験から学んだことが生かされるのではと考えています。次回は、一体なぜ今、学級づくりが難しくなってきているかを考えてみます。