「こどもの自殺対策推進パッケージ」取りまとめ 関係省庁連絡会議

「こどもの自殺対策推進パッケージ」取りまとめ 関係省庁連絡会議
関係省庁連絡会議であいさつする三原担当相=撮影:松井聡美
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 こどもの自殺対策に関する総合的な施策を推進するため、第9回「こどもの自殺対策に関する関係省庁連絡会議」が9月11日、こども家庭庁で開催された。自殺対策基本法の一部改正などを踏まえ、「こどもの自殺対策推進パッケージ」が取りまとめられ、三原じゅん子こども政策担当相は「各省庁の施策を総動員して、こどもたちが生きるということを全うできる社会を築き上げていかなければならない」と述べた。

 近年、自殺者の総数は減少傾向にあるものの、こどもの自殺者数は増加傾向が続いており、2024年の児童生徒の自殺者数は529人と、過去最多となった。10代における死亡原因の1位が「自殺」なのは、G7で日本だけとなっている。

 こうした深刻な状況に対応するため、6月には改正自殺対策基本法が成立。デジタル技術を活用した施策の展開や、こどもの自殺防止などに関わる学校の責務も明記された。

 この日の会議では、各省庁が「こどもの自殺対策緊急強化プラン」に基づく取り組みの進捗(しんちょく)や、来年度の概算要求の状況が報告されるとともに、改正自殺対策基本法などを踏まえ、自治体や関係機関・団体が連動性を持って取り組むべき施策を「こどもの自殺対策推進パッケージ」として取りまとめた。

 同パッケージは、①教育や普及啓発等②リスクの早期発見・対応③危機介入④見守り・支援⑤要因分析・関係省庁の連携等――でまとめられている。

 ①については、SOSの出し方に関する教育・自殺予防教育の促進、学校における精神保健に関する知識の向上などが挙げられている。

 ②では、1人1台端末などを活用した「心の健康観察」の推進、医療および学校現場と連携した教職員向けガイドラインの作成や広報が、③では地域ネットワーク構築によるこども支援、法定協議会の運営に係るガイドラインの作成が示された。

 ④では地方自治体などによるSNS相談体制の強化、⑤ではこどもの自殺の実態解明および分析にあたっての課題把握などが挙げられている。

 今後、地方自治体やこどもに携わる関係機関や団体が、こうした施策を中心に取り組むことにより、自殺対策が地域を問わず着実に行われるよう底上げを図っていく。

 三原担当相は同パッケージについて、「各省庁においては、各施策が果たす意義や役割を意識しながら取り組みを進めるとともに、自治体へのパッケージの周知、広報をお願いしたい」と要望し、「各省庁の施策を総動員して、こどもたちが生きるということを全うできる社会を、なんとしてでも築き上げていかなければならない。こどもたちの声を大切にしながら、こどもが自ら命を絶つことのない社会の実現を目指して、政府一丸となって取り組んでいく」と力を込めた。

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