第5回目は、発見を楽しむしつもんについてです。教科書には学習に必要な写真や絵が載っています。それらをよく見ると、さまざまな発見や驚きがあります。
社会科は教科書の学習課題を探すとき、単元の始めの写真をじっくり見ていくことで課題を立てられるほどです。算数科でも教材研究をしていると、場面絵がとても分かりやすく描かれていて素晴らしいと感じます。道徳科でも場面絵によって想像力が高まり、主人公の思いに共感しやすくなることがあります。
そのように絵や写真から、どうやって子どもの気付きを高めていくのか。1枚の絵を使って説明します(図1)。しつもんは「この絵からどんなことに気付きますか?」です。
「草々庵」(殿村栄一氏提供)
「宝の船だ!七福神だ!」「釣りをしている人がいます」「海の上です」「ネズミが帆のてっぺんにいます」「みんな楽しそうにしています」「船が窮屈そうなのに楽しんでいます」「お金が降ってきています」「女の人が1人います」「着ている服の色はみんな違います」「船が朱色です」「波が穏やかなのかな」「船酔いが気になります」「やりを持っている人がいます」「あっ!小槌を持っている人もいます」
2分ほどでこれだけ出たらクラスとして大したものでしょう。しかし、最初からこのように進むとは限らないので、幾つか絵や写真を見る視点のしつもんを考えておきます。
「何で楽しそうにしているのでしょう?」「この絵の好きなところは?または苦手なところは?」「1分後どうなっていると思いますか?」「もし、この絵に宝という字がなかったらどう感じますか?」「『あっ』と思ったところはどこですか?」
繰り返し進めていくこと、しつもんの答えは全て正解だということを大事にすることで、子どもたちは安心して発言をしていきます。自分が見ていなかったところや多面的多角的に見えることがたくさん出てきて、自分でも気が付かなかった見方や考え方に気付き、成長にもつながります。もちろん、出てきた意見はクラスでシェアします。
ちなみに「1分後どうなっていると思いますか?」というしつもんをすると、「こっちに向かって来ている」「福を届けに来てくれる」など、「こちらに向かって来る」という発言が出てきます。そこで、「宝の船というのは入船と言って、こっちに向かってくる縁起ものなんだよ」ということも教えてあげられます。意見を聞いているこちらも、前のめりになっていきます。さまざまな気付きをみんなで楽しんで授業に生かしてほしいと思います。