今回は柔軟な思考を引き出すしつもんについてです。「子どもたちの自由な発想を楽しみたい」と思いながらも、「好きにしていいよ」「どんなことでもいいよ」と声掛けをしてもなかなかうまくいきません。
そこで「プライミング効果」を使って柔軟な思考を引き出す方法を紹介します。これは事前に受けた刺激によって判断が左右されるというものです。柔軟な思考を刺激するには「直感的なプロセス」と「意識的に考えるプロセス」があります。
直感的なプロセスとしては、例えば郵便ポストをイメージしてみてください。色までくっきり出てきましたでしょうか。それでは写真を見てください。思い描いていたようなポストだったでしょうか。このような少し違ったポストを見せておくだけで、その後の思考が柔軟になります。瞬間的にある程度の成果を出したいときには、こういった変わり種のものを見せてから取り組むとよいそうです。
郵便ポストと3つの点
次に、意識的に考えるプロセスとしてはこんな準備としつもんをします。写真の下にある等間隔に並んだ3つの点を見てください。さて、しつもんです。
「この3つの点を、紙から一度もペンを離さずに書くにはどうしたらいいでしょう?」
実際にやってみてください。回答例を以下に示します。
①ノック式のボールペンで書く方法です。1つの点を書いた後、そのまま一度ノックして収納します。その後2つ目の点の位置まで行ってからノックを解除して点を書きます。3つ目も同じように書きます。
②紙そのものを均等な3つの山に折り、山の頂上を重ねます。そして重ねた一点を塗れば紙を広げたときに3つの点が現れます。
③点を書いた後にペンを横向きに寝かし、紙から離れないようにペンを一回転させて次の点へと移動するという方法です。
ペンを離してはいけないという制限がかかることで、いろいろな発想が思い浮かんできます。
あるいは、あらかじめ「1+1=2」のように答えが分かっているものを使って次のようなしつもんをします。
「1+1=2ではないとするならば、他にどんな答えが考えられますか?」
さあ、どんな答えが出てくるでしょうか。初めに出てくるのは、よくクイズでも用いられている「田」です。その他には「11」、あるいは英語で「TWO,ELEVEN」「1に1が重なるだけなので結局1になる」「棒が2本なので2本」など、さまざまな回答が出てきます。このように「プライミング効果」としつもんを組み合わせることで、柔軟な発想がどんどん引き出されます。