今回は目に見えないものを見えるようにすることについてお話ししたいと思います。まず、次のフローをご覧ください。
①「ありがとう」という言葉を言う→②意識が「ありがとう」に向く→③日常生活の中で何気に過ぎていることの中にあった「ありがとう」に気付く。
このフローは、ことあるごとに「ありがとう」という言葉を使うことで、後々あちこちで「ありがとう」と言いたくなるような現象が見えてくるというものです。中には「このフローって本当?」と思われる方もいることでしょう。そこで、次のようなワークをしてみてください。
①目を閉じる→②「この部屋の赤いものって何がありますか?」と自分にしつもんする→③目を開けて周りを見渡してみる。
たったこれだけのことですが、目を開けて周りを見たとき、目に飛び込んでくるのは「赤いもの」であったはずです。ここで伝えたいことは「これまで全く意識していなかった事柄が、ちょっとしたことで急に意識化される」ということです。
しつもんも同じです。だから、子どもたちだけでなく我々も「良いしつもん」を使い続けていくことが大切です。「良いしつもん」によって、いつの間にかその答えを探し始め、見えなかったものが見えてきます。日々の学級経営においても大切にしたいことですが、教師としてもぜひ、良いしつもんを自身にしてみてください。
第1回でもお伝えしましたが、人は1日に2万回しつもんをしています。例えば、周りから批判をされると、自分のやっていることを正当化しようとしてどんどん言い訳を考えます。自分が満たされていないと、このようなスパイラルにはまってしまいがちです。言い訳が多くなっているなと気付いたら、ぜひ自らへのしつもんを変えてみてください。きっと良き方向に動き出します。
学校組織として教職員や子どもも巻き込むことができたら、学校教育の追い風になります。「ありがとうが一番集まる場所にしましょう」ということを投げ掛けておくだけでも、さまざまなことを見つけ出したり、実践したりするはずです。そうなれば、あとはどうしたら「ありがとう」が返ってくるのかを一人一人が自分にしつもんをしながら取り組んでいけることと思います。もちろん、学校だけでなく家でも実践可能です。すてきなしつもんを使ってすてきなことがたくさん見えてくるとよいなと考えています。