最終回となりました。さまざまな場面でのしつもんについて述べてきましたが、今回はしつもんを使う教師の在り方についてまとめます。
単純にしつもんするだけでは、この実践は思うようにいかないこともあります。また、同じしつもんをしても、子どもの発達段階によって出てくる答えが違うこともあります。特に中学生や高校生と違い、小学生は保育所や幼稚園から上がってきた1年生からもうすぐ中学生になる6年生まで発達段階の差が大きく、出てくる答えの幅も広いものがあります。
しつもんは、実践の継続のほかに、もう一つ重要なポイントがあります。それは、子どもたちの可能性を信じ切ることです。実践しているうちに、教師も子どももしつもんを通じたやりとりに慣れてくるので、子どもたちが本来もっているものを引き出せるようになります。
学級経営において「子どもたちを信じる」ということは、愛をもって「みんな大好き」と思えることにほかなりません。時には、自分にとって都合の悪い行動をする子もいるでしょう。そうした子にも等しくいっぱいの愛情を注ぎたいものです。この「大好き」という気持ちが、「信じる」という気持ちを支えてくれます。
これは、しつもんメンタルトレーニングを進める際、いつでも立ち返られる固有の「構え」です。ですから、「ちょっとうまくいかないな」「マンネリ化してきたな」などと思うことがあったら、この構えに立ち返ってみてください。「初心忘るべからず」です。
最後に、しつもんメンタルトレーニングのインストラクターが大切にしている10カ条を紹介します。スポーツの世界で開発されたしつもんメンタルトレーニングですが、この10カ条は学校教育での実践においても必要不可欠なものです。
〈しつもんメンタルトレーニングの10カ条〉
1 ジャッジしない
2 コントロールしない
3 ゼロベース
4 信じる
5 自分を満たす
6 主役は受講者
7 責任は100%自分にある
8 いま、ここ
9 実践者である
10 楽しむ
ここまで、学校教育におけるしつもんメンタルトレーニングの実践と有用性を述べてきました。連載で述べてきたことが全てではなく、「子どもの本来もっているもの引き出す」きっかけづくりの一つにしていただけたらと思います。しつもんメンタルトレーニングを通した実践がどんどん広がり「しつもん?そんなの当たり前でしょ?」となることで、子どもや保護者そして教職員、地域が幸せになることに思いをはせて本連載を終えたいと思います。ここまでお読みいただきありがとうございました。
(おわり)