【若手が輝く学校づくり(9)】非正規の先生もハッピーになれる職員室づくりを

【若手が輝く学校づくり(9)】非正規の先生もハッピーになれる職員室づくりを
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 若手さん「グスッ、しくしく…今年も採用試験に落ちてしまいました…」

 ミドルさん「そう…うちでは担任も部活動もしっかり指導できているのにね」

 若手さん「毎日遅くまで学校にいたら、試験勉強なんてできなくて…」

 「誰一人取り残さない職員室」を目指すために知っておきたいことの一つとして、非正規教員の苦悩があります。臨時的任用教職員(臨任)や産休・育休代替教員などの非正規教員の割合は年々増える一方です。文科省の「『教師不足』に関する実態調査」によると、現場の5~6人に1人は非正規教員という統計が出ています。国や自治体の財政上、やむを得ない実情もあるのでしょうが、実際に働いている非正規の若手教員は、さまざまな悩みを抱えながら仕事をしています。

 冒頭の若手さんは、担任や部活動の指導まで任されているパターンです。雇用形態にもよりますが、臨任や産育休・病休代替教員の多くは、正規教員と同じ働き方を求められます。加えて、やる気や熱意に満ち溢れた人ほど、子どもや先生方からの信頼も厚く、多くの仕事を任されがちです。その結果、冒頭の若手さんのように勉強時間が確保できず、指導力があるにもかかわらず毎年試験に合格できない…という人が出てしまうのです。そのため、周りの教員は、非正規の先生の仕事量や勤務時間に気を配り、試験勉強に集中しやすい環境をつくっていくことが大切です。

 また、非正規教員の周辺では、次のようなトラブルも起きがちです。

 ミドルさん「なんだか今日はやけに怒った表情をしているね。何かあった?」

 若手さん「副担で入ってもらっている非常勤の若手さんが、私のクラスで連絡ミスをしちゃって、保護者からクレームが入ったんです」

 どうやら出張の代打で副担に入った非常勤講師が、子どもに連絡ミスをしてしまったようです。この背景には、非常勤講師の雇用形態の問題があります。非常勤講師は決まった時間やコマ数で雇用されている場合が多く、担当授業が終わると退勤するため、学校にいる時間が限られてしまいます。立場上、職員会議に参加できなかったり、打ち合わせの場にいなかったりすることも多く、連絡ミスや情報の共有不足が起きがちです。加えて、周囲の若手教員も非常勤講師の雇用形態や事情を正しく理解していない場合が珍しくありません。その結果、若手間でのコミュニケーション不足や誤解が生じ、お互いにストレスを抱えてしまうことがあります。

 そんなときこそ、ミドルリーダーの出番です。ミドルリーダー自身がまずは非正規の先生方一人一人の雇用形態や事情、「困りごと」を正しく知り、周囲の若手教員と共有していくことから始めていきたいところです。

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