【子どものトラウマ回避(5)】保護者や教師ができる子どものこころのケア:子どものための心理的応急処置①

【子どものトラウマ回避(5)】保護者や教師ができる子どものこころのケア:子どものための心理的応急処置①
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 第4回に続き、第5回では心理的応急処置(PFA)の行動原則とさらなる支援を必要とする場合の見分け方を紹介していきます。PFAの行動原則は、「見る(Look)」「聴く(Listen)」「つなぐ(Link)」です。英語の頭文字をつなげると「3L」になります。

心理的応急処置(PFA)の行動原則 ※心理的応急処置(サイコロジカル・ファーストエイド:PFA)フィールド・ガイド(2011)を基に作成

 「見る」では、どのような子どもがPFAを必要としているかを見極めます。深刻なストレスを抱えている子どもを見極める際には、第2回で示した子どものストレス反応の特徴を知っていることが役に立ちます。大切なのは普段の子どもの様子との違いに着目することです。他者が殺害される(または負傷する)現場や遺体の目撃、子ども自身の負傷、自分の大切なもの(家族、友人や知人、ペット、家、持ち物、学校など)を失う喪失体験、家族の行方不明などが起きた場合は、子どものストレス反応に影響を及ぼします。また、過去の虐待や家庭内の暴力、喪失体験なども影響を及ぼすので、注意をして見守ることが求められます。

 「聴く」では、話しやすい場所(静かでプライバシーが保たれる場所、必要であれば椅子に座らせるなど)で子どもに寄り添い、注意を向けながら、話を遮ったり否定したりせず、子どもが語ることを聴きます(=傾聴)。

 「つなぐ」では、子どものニーズに合わせて、必要としている支援につなぎます。

 PFAなどによる支援を受けてもなお強いストレスが続き、日常生活に支障を来している場合、自分や他者を傷つけるリスクがある場合は、さらなる支援が必要となります。専門的サービス(精神科や心療内科などの医療機関、心理の専門家)へつなぐことを検討してください。普段から、地域にはどのようなつなぎ先(子どもの支援機関)があるかを把握し、関係づくりをしておきましょう。

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