本連載の第4回では、「初任者と組むあなたに伝えたいこと」と題して、同学年の先生のNGな振る舞いを例に挙げながら、初任者と組む上で大切にしていただきたいことを書きました。今回は、そんな初任者を遠くから見守る管理職に伝えたいことを書きます。
この連載を読まれている方の中には、おそらく管理職の方もいることでしょう。そもそも、初任者を応援する気持ちのない管理職などおそらくいません。でも、応援する気持ちが時として間違った方向へ行ったり、初任者のつらさに気付けなかったりするケースはあると思っています。
管理職の初任者に対するNG指導を今回もベスト3形式でお伝えします。
「初任者を育てたい」という思いは素晴らしいですが、その役目は管理職ではありません。初任者指導の先生です。
良かれと思って、つい初任者に指導をし過ぎてしまう管理職がいます。例えば、初任者と立ち話をしていたと思ったら、それが30分、1時間にも及び、熱く指導をしてしまう管理職を見たことがあります。
もちろん、初任者が指導を求めてきた場合は必要ですが、管理職の役目はあくまで全体の指導のバランスを保つことです。
初任者指導の先生に任せる意識が大切だと先ほど述べましたが、実際に任せ過ぎた結果として、不幸なことが起こることもあります。一番多いのは、指導者と初任者が合わないケースです。これに気付かず放置した結果、初任者が辞めていくことも実際にあります。任せつつも、初任者本人や周りの職員に情報を求めながら、さりげなくフォローをしてあげてほしいのです。
そして、指導者と初任者の関係がうまくいくように、それぞれに受容と承認の言葉掛けをぜひしてあげてほしいのです。「A先生のおかげで、B先生の力が付いてきていますね。ありがとうございます」「B先生、授業をちらっと見せてもらったけれど、子どもたちをよく褒めていて、学級がすごく良い雰囲気だね。A先生も『頑張っている』って言っていたよ」など、相互の関係性が良くなる言葉掛けをぜひしてあげてほしいと思います。
初任者はブレーキのない車だと思った方がよいと思います。それくらい一生懸命頑張ってしまうものです。だからこそ、管理職の先生がブレーキになってあげてほしいのです。
初任者だけでなく、学校全体が早く帰って、しっかりリフレッシュできる職場環境をつくることが、管理職の最大の役目だと思います。そうした文化ができたところに、初めて職員同士の学ぶ文化が形成されるはずです。働かせ過ぎていないか、ぜひ初任者の見取りをしっかりとしていただきたいと思います。