元公立小学校教諭・大日向小学校カリキュラムマネージャー
本連載ではこれまで、学校現場における「従順であること」から「主体的であること」、「標準化」から「個別化」、「時間ベース」から「到達ベース」、「競争」から「協働」への転換、そして「探究的な学び」を中心に据えた授業改善の例を紹介してきた。それらの授業改善は子どもたちの「内発的動機付け」を飛躍的に高め、学習は自分事になり、子どもたちは日を追うごとに自立した学び手へと変容していった。
2017年の初夏、ある公立小学校で職員会議が行われた。議題は秋に行われる学芸会について。その会議はいわゆる普通の学校のそれとは少し違っていた。「学芸会は何のためにやるのか」を全職員で対話することからスタートし、外部のファシリテーターが会を進行する。
学習指導要領に示されているように、「主体的な学び」「対話的な学び」「深い学び」を目指した授業改善はわれわれ教師に課せられた使命である。また、文科省は2018年6月5日に「Society5.0に向けた人材育成~社会が変わる、学びが変わる~」を提言した。
工業時代の学校で子どもたちは、学んでいる単元を理解したかどうかではなく、決められた時間がたったかどうかで次の単元に進まされている。いわゆる「時間ベース(履修主義)」による管理だ。それぞれの教科で年間の「標準時数」というものが定められ、単元ごとに標準的な時数が決められていることが多い。
工業時代の学校においては「標準化」が全てだ。同じ年代の子どもたちが、同じ学級で、同じ内容を、同じ時間に、同じペースで、同じ方法で学んでいる。子どもたちの興味関心や能力が違うにもかかわらずだ。果たしてそれでよいのだろうか。
私は以前、教育分野で活躍する先輩から、「伝統的な学校に対してつくられてきた進歩主義的な学校は全て失敗してきた」と言われたことがある。伊豆大島の三原山をハイキングしながら語り合ったときのことだ。
時代は工業時代から情報時代、そしてSociety5.0へと加速度的に進んでいる。工業時代において、人は「従順であること」が重要事項だった。今でも多くの学校では「学習規律」という名の下に「静かに着席すること」「教師の話を黙って聞くこと」「指示通りに行動すること」など、「従順であること」が隠れたカリキュラムとして繰り返され、強化されている。
東京都の離島に小さな公立小学校がある。朝の「サークル対話」を終えた子どもたちは1時間目の算数の準備を始める。自分で作った今週の時間割を確認している子、本棚にあるポートフォリオを取りにいく子、友達とおしゃべりをしながら算数の準備に取り掛かる子、慌てて鉛筆を削っている子などがいる。
東京都の離島に小さな公立小学校がある。この学級の朝は一般的な学級と少し様子が違っている。子どもたちは思い思いの場所で読書をしたり、絵を描いたりしている。外で元気に走り回っている子もいれば、オリジナルのカードゲームやすごろくを製作中の子もいる。
東京都の離島に小さな公立小学校がある。この学校の4年生の学級はとてもユニークだ。学びの中心は探究学習。3月最後の金曜日に発表会が行われた。2年間にわたって取り組んできた探究はこの日、大きな節目を迎える。
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