一般社団法人アルバ・エデュ代表理事
最終回は、私たちのプレゼン教育を通じて「伝わった!」という体験をした何人かの子どもたちの「その後」をご紹介したいと思います。
今回は、心理的安全性についてお話をしたいと思います。私が全国各地の授業に伺って感じるのは、特に中学生以上になると、子どもたちがまるでよろいを着ながら授業を受けているような気がすることです。SNSが普及し、匿名性を悪用して誹謗(ひぼう)中傷なども行われる世の中で、子どもたちはLINEグループで外されないように気にしているとも聞きます。
小中学校では「総合的な学習の時間」、高校では「総合的な探究の時間」などにおいて、探究学習が導入され始めました。プレゼン教育との親和性からか、探究をテーマにした教員研修に呼ばれることも多くなりました。文科省が発行する「今、求められる力を高める総合的な学習の時間の展開」では、探究のプロセスを「課題設定→情報収集→整理・分析→表現・まとめ」と記しています。
私たちのプログラムを導入してくださっている東京都江戸川区の校長先生のこのお言葉が、今でも心に響いています。「学力」という物差しでは輝く場が少ない子どもたちも、プレゼンには主体的に取り組め、思いが伝われば大きな拍手を浴びることができる。プレゼン教育は一斉指導とは一線を画すもので、個別最適な学びを得られるプログラムだ。
今回は、プレゼンで重視する3つの力の3番目の「見せる力」、プレゼンの最終工程に当たるビジュアル資料についてのお話です。自分の体以外のツールを使って、「イイタイコト」を人に伝える補強の部分です。「プレゼンで重要なのはスライドでは?」との思い込みからスライド作成に長い時間を費やすあまり、「考える力」「伝える力」がおろそかになるケースがあまりにも多いので、私はあえて3番目にしています。
前回、プレゼンを組み立てる上で重視する3つの力のうち「考える力」についてご説明しました。今回は2つ目の「伝える力」、英語で「デリバリー」と言われる「イイタイコト」の届け方に関する力について解説します。
今回からは3回に分けて、プレゼンを組み立てる上で私が重視する3つの力、「考える力」「伝える力」「見せる力」を一つずつ、授業での様子も交えながらお伝えしていきます。まずは「考える力」。これはプレゼンの中身に直結する最も大事な「イイタイコト」を磨いていく力で、「広げて・深めて・選ぶ」プロセスが鍵となります。
2019年に日本財団が実施した「18歳意識調査」をご記憶の方もいらっしゃると思います。この質問に対して「はい」と回答した18歳が、日本は18.3%と、アメリカ65.7%、イギリス50.7%、中国65.6%、インド89.1%など他国の同世代に比べて著しく低かったのです。背景には「自分は何をしても無力だ」という「自己効力感の低さ」があると私は思います。
子どもの話す力を高める――これには幾重ものハードルがあります。 現在はコロナ禍によって、「黙る」ことが当たり前になっています。隣の席の子との会話制限、「黙食」する給食。子どもたちは、話すこと自体がどこか悪であるかのような意識で学校生活を送っているようにも見えます。
12年前の長男の初めての学校公開。静かな授業、正解ありきの問い掛け、板書を反射的に写す子どもたち。昭和の時代に私が受けた授業から時が止まったかのようでした。こんなに世界は変わったのに。ビジネスの現場で世界と日本を見てきた私は、強い焦燥感を覚えました。これから先、待ち受ける未来は予測不可能。だからこそ、子どもたちにはもっと「話す力」を身に付けてほしい――。
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