創意工夫しコロナ禍の修学旅行を 越谷市立新方小の決断

コロナ禍における宿泊を伴う修学旅行について、各自治体や学校で対応が分かれる中、埼玉県越谷市立新方小学校(田畑栄一校長・児童203人)では3月7、8日に、宿泊を伴う5年生の林間学校を山梨県河口湖で実施した。また3月15、16日には、箱根・鎌倉へ宿泊を伴う6年生の修学旅行を実施する。「コロナ禍で創意工夫してやることに価値があるのではないか」と話す同小に、実施の判断に至るまでを聞いた。

林間学校でのキャンプファイヤーの様子(新方小提供)

修学旅行については、1月12日の閣議後会見で萩生田光一文科相が「中止ではなく、工夫して実施を」と述べた。それを受け本紙では同18日に「修学旅行は実施か中止か どうすべき?」をテーマに「Edubate」を行った。その結果は「中止するべき」が30%、「行き先を近距離にして実施」が26%、「従来通り実施」が17%、「翌年度に繰り越して実施」が10%、「旅行日程を短縮して実施」が8%、「オンラインなどで実施」が3%――だった。

現在も緊急事態宣言が発令されている首都圏の1都3県においては、都教委が宣言解除まで修学旅行を中止する方針を出すなど、慎重な判断をしているところもある。越谷市教委では、修学旅行などの実施に関しては各校の判断に委ねるとしているが、中学校においては遠方への計画が多かったことも影響して、宿泊を伴う修学旅行を行う予定の学校はなく、各校が学年レクなど代替行事に変更している。小学校においては、宿泊を伴う修学旅行を行う学校や、日帰りへ変更した学校、その他の代替行事として工夫して実施する学校など、対応が分かれている。

同小では例年は7月に林間学校を、10月に修学旅行を予定していたが、臨時休校期間中に教職員で話し合いを重ね、どちらも予定を変更して「年度内の3月に実施する」ことを、5月の段階で決定していた。

田畑校長(左)と吉野教諭(新方小学校提供)

田畑校長は「3月までにはコロナとの付き合い方がある程度、分かってくるだろうと踏んだ。また、コロナはそう簡単には収束しないだろうから、全ての学校行事を『今年は止めて、来年に』というわけにはいかないと思った。今年は今年、来年は来年で考えなくてはいけない」と決断の経緯を振り返る。

1月に同県に緊急事態宣言が発令された後は、いったん、中止の方向に傾いたが、子供たちに対してこの1年、「知恵を出し合い、創意工夫をして新しい文化をつくっていこう」と呼び掛けてきたことに照らし合わせ、教職員で再び実施に向けて話し合いを重ねた。その後、保護者説明会での同意も得て、若干の日程や行程の変更をした上で、実施が決定した。

2学期から調べ学習などを重ねて、完成させた修学旅行のしおり(新方小学校提供)

さらに3月に入って21日まで緊急事態宣言が延長されることとなったが、行き先の感染者数の推移などを改めて検証した上で、実施できると判断。3月2日、保護者にメールで「緊急事態宣言が延長されても、対策をした上で林間学校と修学旅行を行いたい」という学校側の考えを伝えた。その後も保護者からの問い合わせはなく、5年生は34人全員が参加、6年生も41人全員が参加を予定している。

林間学校に同行した上瀧敬介教頭は「いろいろな障害はあったけれども、みんなで話し合って創意工夫して行うことが一番大切だと思っている。保護者に対しても、学校側がどのような安全策や対応策を取るのかについて、丁寧に説明を重ねてきた」と話す。

具体的な安全策としては、密を避けるためにバスは2台、部屋は4人部屋、お風呂も少人数の入れ替え制とする。また、食事は前を向いて食べ、就寝中もマスクを着用するとした。マスクも都度、付け替えるようにし、目が行き届くように引率教員の数も増やした。

5年生の担任の大森千聖教諭は「子供たちは新しい生活様式に慣れつつある。それを意識して生活することは、これから数年間、必要なスキルであり、林間学校は実際にやってみる良い機会でもあると捉えている」と話す。

また、6年生の担任の吉野学之紀(たかゆき)教諭は「この1年、子供たちなりに必死にコロナと向き合ってきた」と振り返り、「自分たちが行動変容して、これまでの当たり前の価値観を変えれば、最大限楽しむことのできる修学旅行になるのではないか」と期待を述べた。

田畑校長は「修学旅行や運動会などは、これまでやって当たり前だったが、コロナ禍でそうではなくなった。今回は、子供たちが保護者と話し合い、自己決定する経験ができたと思っている。大人の判断で止めるのではなく、コロナを正しく恐れて、創意工夫して自分たちで乗り越える方法を得られたら、子供たちにとっても自信になるだろう」と力を込めた。

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