23年度予算案衆院通過、年度内成立が確定 不登校対策など拡充

23年度予算案衆院通過、年度内成立が確定 不登校対策など拡充
2023年度予算案の可決を受けて起立する岸田首相(前列右端)ら(衆議院インターネット審議中継から)
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 いじめや不登校、自殺者の増加などへ対応するためスクールカウンセラー(SC)とスクールソーシャルワーカー(SSW)の拡充などを盛り込んだ2023年度予算案が2月28日、衆議院本会議で採決され、自民・公明両党の賛成多数で可決された。一般会計総額114兆3812億円で、このうち文科省関連は総額5兆2941億円(前年度当初比0.2%増)。4月に発足するこども家庭庁関連の予算案は一般会計が1兆4657億円、児童手当などの年金特別会計が3兆3447億円の合計4兆8104億円。野党各党は子供・子育て予算が不十分などとして反対した。予算案は今後、参院で審議されるが、衆院の優越を定めた憲法の規定により、年度内の成立が確定した。

 1月27日から始まった予算委の論戦では、防衛費の増額、旧統一教会、新型コロナウイルス感染症対策の問題とともに、岸田文雄首相が最重要施策とする「異次元の少子化対策」が大きなテーマとなった。野党側は岸田首相が主張する子供関連予算の倍増について、倍増の時期や基準について政府を追及。岸田首相は今月15日に家族関係社会支出を20年度の国内総生産(GDP)比2%から倍増を目指す考えを示したが、翌16日には磯﨑仁彦官房副長官が首相の発言を予算のベースとして言及したものでないと修正する一幕もあった。

 文科省予算案の学校関連では、いじめや不登校、自殺者の増加などへの学校支援策としてスクールカウンセラー(SC)とスクールソーシャルワーカー(SSW)の拡充のため過去最高の85億円を計上。「ギフテッド」と呼ばれる特定分野に特異な才能のある児童生徒の支援に向けて新規で8000万円を盛り込んだ。教員の負担軽減では小学校の35人学級を4年生に適用するなど教職員定数を4808人改善、教員をサポートする業務支援員も増員する。部活動の地域移行では中学校での部活動指導員の配置を前年並みに支援するほか体制作りに向けた実証事業に取り組む。学校のICT環境整備では、トラブル対応などにあたるGIGAスクール運営支援センターの機能を拡充し、全ての学校が端末活用を「試行錯誤」から「日常化」のフェーズへと移行を目指す。

 こども家庭庁関連では、主な事業としては、定員121人以上の大規模保育所を対象に4、5歳児各クラスの25:1配置実現のため保育士2人加配に向けた加算や、保育所や認定こども園などでの登園時やプール活動時の見守りのためのスポット支援員の配置などで保育士の負担軽減を図る。また、保育所の空き定員枠を活用し、未就園児を定期的に預かるためのモデル事業を実施する。また子供の安全・安心を確保するために、子供関連業務従事者の性犯罪歴確認の仕組み(日本版DBS)の導入に向けた検討のための調査研究や、予防のための子供の死亡検証(Child Death Review)のモデル事業を実施する。

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