自転車乗車時のへルメット着用の重要性を特集 交通安全白書

自転車乗車時のへルメット着用の重要性を特集 交通安全白書
iStock.com/yamasan
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 政府は6月20日の閣議で、2023年度の「交通安全白書」を決定した。4月に道路交通法が改正され、自転車乗車時のヘルメット着用が努力義務化されたことなどに伴い、白書でも自転車の安全利用について特集。年齢層別の法令違反の状況や学校で行われているヘルメット着用を促進する取り組みの事例を取り上げた。

 特集は3章で構成。第1章では『自転車の交通安全の現状とこれまでの経緯』と題して、自転車関連の交通事故の推移や事故における運転者の法令違反状況などを盛り込んだ。

 白書によると、22年の自転車関連死亡・重傷事故の件数は7107件。13年の1万540件と比べて、4割程度減少した。19歳以下は1314件で13年に比べ、1000件以上減少している一方、発生件数は65歳以上に次ぎ多い。そのため、白書では高齢者と19歳以下を中心に対策を講じるのが望ましいとした。

 また、自転車事故における法令違反状況についても記載。昨年までの10年間で、事故の過失割合が高い第1当事者の違反を見てみると、一時不停止の割合が小学生で26.3%、中学生で22.6%、高校生で22.0%と、全体の15.9%に比べて高くなっている。さらに、第2当事者においても、違反なしの割合が全体に比べて低く、小学生は27.8%と7割以上が何らかの過失があった。

 第2章は、「車道が原則、左側を通行 歩道は例外、歩行者を優先」、「夜間はライトを点灯」といった自転車を安全に乗る上で求められる5つのルール(自転車安全利用五則)について取り上げた。

 昨年4月に道路交通法が改正され、全年齢において努力義務となった自転車乗車時のヘルメット着用については、昨年までの10年間の交通事故統計を用いて重要性を強調。▽死者総数1996人のうち、半数以上にあたる1116人が頭部の損傷が致命傷▽ヘルメットを着用していなかった時の致死率(死傷者のうち、死者の占める割合)が、着用時と比べて約2.4倍――といったデータを取り上げ、自転車乗車時に頭部を守る重要性を指摘している。

 さらに、各自治体における着用を推進する取り組みも紹介。学校関連では、埼玉県警が同県教委などと連携し、昨年度から行っている自転車ヘルメット着用モデル校の指定や、岐阜第一高校が交通安全教育の一環として岐阜県や同県警と合同で行っている啓発イベントなどが載っている。

 第3章では、損害賠償保険の加入促進やサイクルツーリズムのルート指定など自転車活用の推進に向けた政府や自治体の取り組みを載せている。内閣府のホームページから閲覧できる。

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