「交渉代理人としても活用を」 スクールロイヤー巡り盛山文科相

「交渉代理人としても活用を」 スクールロイヤー巡り盛山文科相
閣議後会見で質問に答える盛山文科相=撮影:大久保昂
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 盛山正仁文科相は4月2日の閣議後記者会見で、弁護士として学校内の問題解決をサポートする「スクールロイヤー」の活用法について、学校や教育委員会が助言を受けるだけではなく、難しい事案については代理人として保護者らと直接交渉にあたってもらうよう都道府県・政令市教委に通知したことを明らかにした。通知は3月28日付。日本弁護士連合会(日弁連)の見解などを踏まえた対応だといい、「保護者らが限度を超えた要求を繰り返したり、学校や教育委員会に危害を加えたりする場合には助言だけでなく、代理人として保護者と直接やりとりすることが適切だと考えられる」と述べた。

 スクールロイヤーの活用法を示した文部科学省の手引きは、保護者対応などについてアドバイスを行う「助言・アドバイザリー業務」に加え、学校や教委に代わって交渉を担う「代理人業務」も例示している。

 しかし、文科省が2022年度に全国の自治体を対象として実施した調査では、「助言・アドバイザリー業務」については全ての都道府県・政令市が利用していたのに対し、「代理人業務」での活用は都道府県では2自治体(5.2%)、政令市では3自治体(18.8%)にとどまった。日弁連は3月14日にまとめた意見書で、両方の業務が重要だと指摘し、文科省に対し、事案に応じて両方の業務に対応できる体制を整えるよう求めていた。

 盛山文科相は2日の記者会見で、スクールロイヤーの活用法の現状について「代理人業務をお願いする自治体は少数にとどまっている」と指摘。通知の狙いについて、「両方の業務に対応できる相談体制は、教師と保護者の間での信頼に基づく対等な関係の構築や、教師の負担軽減につながると考えている」と述べた。今後は具体的な運用方法を示すため、手引きの改訂も含めて検討する。

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