【高校無償化】外国人生徒の一部と広域通信制は対象外も 自民会合

【高校無償化】外国人生徒の一部と広域通信制は対象外も 自民会合
自民党の教育・人材力強化調査会の会合であいさつする柴山会長(中央)=撮影:山田博史
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 いわゆる高校無償化を巡って自民、公明、日本維新の会による協議が進む中、自民党の教育・人材力強化調査会(会長・柴山昌彦元文科相)の会合が9月10日、党本部で開かれ、来年度から予定されている私立高校の授業料無償化の制度設計の方向性が示された。この中で柴山会長は、外国籍の生徒については無償化の対象は定住が見込まれる生徒として、インターナショナルスクールなどはいったん制度から外すことや、広域通信制高校は対象外とする方向で検討を進めていることを明らかにした。ただし、「現在学んでいる生徒への支援をなくすことは考えておらず、別の予算措置で支援を検討したい」とも述べて、詳細な制度設計を急ぐ意向を示した。また、3年の検証期間を設けて制度の見直しを図っていく考えも示した。

 高校無償化を巡っては、来年4月から私立高校の授業料について所得制限を撤廃して、45万7000円を上限に就学支援金を支給する方針が決まっている。

 会議の冒頭、柴山会長は「無償化について外国籍の方をどうするか、通信制高校が対象になるかどうかなど、進路指導の現場から一刻も早く明示してほしいという声が届いている。水面下で維新の方と必要な論点整理に向けた交渉を続けており、本日、大まかな方向性を示すので忌憚(きたん)なく意見をいただきたい」とあいさつした。

 この後、約1時間の会合の中で、柴山会長が高校無償化を巡る論点案などについて説明し、各議員から意見が述べられた。

 会合後にブリーフィングした柴山会長によると、外国籍の生徒への支援については、日本に継続的に定住、在学している生徒と、留学で初来日する生徒などさまざまな状況があるという課題を説明した上で、日本に定住が見込まれる生徒に対しては支援し、勉強のみで来日する生徒やインターナショナルスクールなどはいったん制度から除外する方向で検討したいとの考えを示したという。ただし、現在学んでいる生徒への支援をなくすことは考えていないとも述べ、支援が必要な生徒には予算措置で柔軟に対応する姿勢を示した。

 また、広域通信制高校については、「検証が十分されていない」として、現時点で授業料の引き上げの対象には含めない方向で論点をまとめたいとの考えも示した。

 一方、会合では、所得制限の撤廃について、公立校から私立高校への生徒の移動や地域間格差の助長などを懸念する意見が多く上がり、こうした部分も含めて来年度から3年の検証期間を設けて、先行実施されている大阪の事例なども踏まえて制度の見直しを図る規定も設ける方針が示された。

 さらに約4000億円の新たな財源が必要とされる中、予算の確保に懸念を示す声も多くあったといい、柴山会長は「トータルとしての財源確保や責任を持った持続可能な制度設計について、次回の3党実務者協議では維新の皆さまにも強く申し入れていきたい」と強調した。

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