受験料0円入試も 新大学「コー・イノベーション大学」が開学発表

受験料0円入試も 新大学「コー・イノベーション大学」が開学発表
右から井上代表理事、宮田学長、今永事務局長=提供:コー・イノベーション大学
広 告

 全国15カ所にサテライトキャンパスを設け、地域や企業のプロジェクトなどに参加する実践型カリキュラムを教育の柱とするコー・イノベーション大学(岐阜県飛騨市)が9月8日、東京都内で開学発表会を開いた。文部科学省の設置認可を受け、2026年4月開学が決まった。略称は「CoIU」(コーアイユー)。高校での探究学習の本格化や実学志向の高まりを背景に、「社会に学び、社会に貢献する」大学モデルを提示していくという。「受験料0円」の入試制度もある。

 CoIUに開講されるのは共創学部地域共創学科の1学部1学科で、定員120人。1年次は飛騨市が学びの場となり、2年次は全国に点在するサテライトキャンパスを拠点とする。地域プロジェクトに取り組む「ボンディングシップ」を週3日、残る週2日はオンライン授業を受講。3年次以降も現地フィールドワークが中心となる。

 「ボンディングシップ」は「ボンド」(絆)と「インターンシップ」を組み合わせた造語で、CoIUの大きな特徴。教育効果とともに学生を受け入れる地域、企業にもメリットをもたらすという位置付けだ。

 学長は慶應義塾大学の宮田裕章教授。「中学、高校で課題探究型の学習を進めてきた若者のための実践的な学びの場は、これまで限られてきた。また、これまでの学びは知識・技術の習得がメインだったが、これから先は生成AIの登場でかなり補完される。残された人間の能力として必要なのは、問いを立てる力。これを磨くため、実践の場で学生たちと共に取り組みたい。地域の中で共に学ぶことが重要」と述べ、CoIUが目指す学びを説明した。

 大学設立に向けて奔走してきた(一社)CoIU設立基金の井上博成代表理事は「大学設立のプロジェクトにとどまらず、飛騨の街づくり、地域で稼げる産業の構築を同時に達成しながら、新たな教育モデルに取り組みたいと船出をした。20年6月に飛騨市と大学設置に関する包括支援協定を締結し、5年間、準備を進めてきた」とこれまでの経緯を説明した。

 CoIUは、飛騨市のJR飛騨古川駅周辺を拠点とし、街並み全体をキャンパスとしている。回遊できる範囲にある旅館、古民家、ホテルを改修、リノベーションした施設を活用する。また、2025大阪・関西万博の大屋根リングをデザインした建築家・藤本壮介さんが手がける商業施設「soranotani」も27年開業予定で、共創拠点として、その一角にキャンパスができる。

 サテライトキャンパス候補地は、▽北海道▽仙台市▽東京ミッドタウン八重洲▽新潟県胎内市▽長野県小布施町▽石川県中能登地区▽富山県射水市▽岐阜市▽飛騨市▽岐阜県高山市▽愛知県田原市▽三重県▽京都市▽鳥取市▽福岡市――の15カ所。

 教授を兼ねる今永典秀事務局長は「問いを立てる力、共創の実現に向け、理論、対話、実践を往還するプロセスを通じて地域、立場を越えて課題解決、社会変革を実行する力を備える人材を育てる」と教育の特徴を示した。

 入試は、総合型選抜・学校推薦型選抜を中心とし、個人面談とグループ面接で学ぶ意欲などを見て選抜していく。総合型選抜は7期に分けて、募集人員は計68人。1期はすでに募集を開始し、9月14日まで出願を受け付けている。学校推薦型選抜(試験日・11月30日)は募集人員40人。筆記試験による一般選抜(同2月8日)は同12人。総合型選抜・学校推薦型選抜は複数回受験可能で、2回目以降は受験料0円、一般選抜も受験料0円としている。

 求める学生像として、宮田学長は「実践的学びを志す学生さんたちとコミュニケーションしていきたい。総合型、探究型学習を実践し、その学びに充実感を感じている学生は、CoIUが目指す学びと親和性が高いと思う」と述べた。

広 告
広 告