【部活動の新しいカタチ(4)】渋谷ユナイテッド部活動のカタチ②

【部活動の新しいカタチ(4)】渋谷ユナイテッド部活動のカタチ②
広 告

 ユナイテッド部活動の文化部として、将棋部、料理スイーツマスター部、デジタルクリエイティブ&e-スポーツ部の3部もスタートさせた。東京都渋谷区には日本将棋連盟の将棋会館がある。また、服部栄養専門学校、株式会社ミクシィ、株式会社フロンティアインターナショナル、eスポーツ高等学院も区内にあり、技術指導をお願いしたところ、快くお受けいただいた。

 今年の夏、文化庁も文化部の地域移行を打ち出した。地域によって困難な状況を生むか、逆に運動部より地域移行が成立しやすいこともあるだろう。取り組んでみなければ分からない。

 ここで吹奏楽部について考えてみる。吹奏楽部は入学・卒業式、体育祭などの学校行事で演奏し、花を添える。学校になくてはならない存在と言ってよいだろう。一方でコンクールやコンテストがあるため活動は過熱傾向で、休日に地域のイベントへの参加要請を受けることもあり、生徒も教員も負担が大きい。

 吹奏楽部の地域移行が果たしてできるのかというと私は懐疑的だ。前述したように学校行事などで華やかな雰囲気を醸し出す、学校になくてはならない存在である。音楽CDで十分との考えもあろうが、校長経験のある私は違う。学校の生徒が自ら演奏する吹奏楽で行事を行いたいし、行わせたい。

 また、吹奏楽部が学校にあるから生徒は楽器に興味関心を持ち、楽器を手に取ろうとするのであって、地域移行になって、生徒が吹奏楽を選ぶだろうか。学校だから高価な楽器もそろえられるし、そのメンテナンスもできる。地域移行すれば部費に当たる会費が高額になり、楽器も自分持ちで家庭に経済的な影響が出ることは明らかだ。吹奏楽部は部活動として学校に残し、1校1部を維持するべきであり、学校ごとにある吹奏楽部という部の看板は降ろすべきではないと私は思う。

 だからと言って教員の指導者を置くことはせず、楽器ごとの外部指導者などを配置するなどして対応する。教員を置かざるを得ない場合は兼業兼職を認める。

 ユナイテッド部活動が試行しているように、学校部活動と地域部活動の2つの位置付けにして、吹奏楽部はあくまで学校管理下に置く。そうであれば、公的な補助も受けられる。

 全ての部を地域移行するのに無理があれば、柔軟に対応することが必要だろう。もちろん教員を顧問にする(指導者)といった前提ではなく、部として学校管理下に置いた方がよいケースであるのならば、その判断を学校長に委ねるのが当然のことではないだろうか。

 全国一律ではなく、地域や学校の状況や種目(部)に応じて「部活動改革」のカタチはそれぞれであっていい。

広 告
広 告