第8回 勉強をこなしている子のさらなる成長を後押しする言葉かけ

第8回 勉強をこなしている子のさらなる成長を後押しする言葉かけ
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 心理学者のチクセントミハイ氏は『フロー体験入門』(世界思想社、2010)の中で、チャレンジとスキルが釣り合う状況、つまりは「フロー状態」を作り出すことの重要性を指摘しています。フローの概念はあらゆる分野にわたって広く使われていて、私も子どもたちの学びの自己調整力を育むために伝えている概念です。

 例えば、勉強をこなしているように見える子は、下の図のようにスキル・手持ち力が身に付くに従い、フロー状態から退屈ゾーンへとはみ出してしまったのではないかと感じます。

 退屈ゾーンから抜け出すためには、子ども自身が挑戦する課題の難易度を上げることを促す言葉かけが必要になります。今のままでは、取り組む課題の難易度が低い状態のため、「退屈・飽き・手持ちぶさた」の感情や状態になっているのです。こうした状態を見過ごすと、学びに対する興味が少しずつ薄れてしまいます。だからこそ、教師が早期に気付き、挑戦のきっかけを与えることが欠かせません。

教師:前は楽しかったのに、なんだか退屈だと感じているのは力が付いてきた証拠だよ。ゲームもずっと同じ難易度でプレーしていたら飽きると思わない?あなたもゲームでは、そんな楽しみ続けられる工夫をしているんじゃないかな?難易度を上げた直後は失敗したり、悔しい気持ちになったりするだろうけど、勉強の難易度を上げてみたらどうかな?楽しい学びが待っていると思うよ。

 また、学級では日頃から「全員が勉強しよう」と語り、以下のような掲示物も常時掲示しています。

 時には「授業の最初から分かっていたことに取り組み続けていたとしたら、それは勉強にはなっていないんだよ」などと教えてあげることも大切にしています。子どもたち全員が勉強した45分の授業を目指したいものです。

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