夏休みが明けて2週間が過ぎた。子供らも学校生活に慣れてきて、夏休み前の生活リズムが戻ってくる頃だ。学級の雰囲気も、夏休み気分がずいぶんと薄まってきて、普段通りの生活になっているだろう。
このあたりで、やや緩んでいた子供らの基本的生活習慣を取り戻そう。
その方法として、「返事・あいさつ・履物揃え」のうちのどれか1つに力を入れて取り組んでみてはどうだろうか。もちろん、3つ全てに力を入れても差し支えない。しかし、まず1つに注力して取り組む方がやりやすいし、成果として現れやすい。
「返事・あいさつ・履物揃え」の言葉は「しつけの三原則」として、教育界では比較的よく知られている。これは高名な教育哲学者である森信三先生の言葉だ。森先生は、この3つの原則について、次のように述べている。
第一、朝必ず親にあいさつをする子にすること。
第二、親に呼ばれたら必ず、「ハイ」とハッキリ返事のできる子にすること。
第三、履物を脱いだら必ず揃え、席を立ったら必ずイスを入れる子にすること。
(『致知』1985年11月号)
この3つの中から1つを選んで、取り組んでみよう。
どれを選んでもよいが、意外にうまくいかないのは、自分の学級の子供らの不十分な点を伸ばそうとして選ぶことだ。「あいさつが上手にできない子が多いから、あいさつに力を入れてみよう」という具合である。それよりも、担任の先生が最も取り組みやすいと感じる項目を選ぶ方がよい。その方が、指導がしやすいし長続きする。結果として成果も出やすい。
具体的な指導は、山本五十六の格言が参考になる。
「やってみせ 言って聞かせて させてみて 褒めてやらねば 人は動かじ」である。
①やってみせる 先生がお手本を子供らに見せる。
②言って聞かせる 返事なら返事、あいさつならあいさつの意義ややり方を説明する。
③させてみる 子供ら一人一人に実際にさせてみる。練習をさせる。
④評価をする よくできている点を褒め、至らぬ点は教える。
私は、学級担任時代、毎日の「朝の会」で、次のようなあいさつの練習を一定期間行っていたことがある。
(ある列の一番前の子の斜め前に立ち)
私「〇〇さん」
子供「はい!」
私「おはようございます!」(手本を見せるつもりで、元気よくあいさつをする)
子供「おはようございます!」
私「素晴らしい!」(「いいね!」「もう少し!」などの声を掛ける)
評価をしたら、その後ろの席の子の斜め前に移動して、同様に続ける。これを子供ら全員と行う。
毎日続けていると、子供らのあいさつの声が少しずつよくなってくる。
続けることがポイントである。