一斉休校 働き方を大きく見直す契機(妹尾昌俊)

教育研究家・学校業務改善アドバイザー 妹尾 昌俊

ご案内の通り、新型コロナウイルス対策として、未曽有の全国的な休校(臨時休業)が続いている。この是非や必要性については、さまざまな見解があるが、ここでは触れない。

この休校の期間中も、教員たちは暇なわけではない。とりわけ、管理職にとっては、保護者への連絡や教育委員会との調整、卒業式の見直しなどを含めて、仕事が増えている部分もある。

春の修学旅行を延期する学校では、その調整に大慌てだ。給食費の返納などで学校事務職員らも、もともと忙しい年度末がさらに大変になった例もあると聞く。休校中も教室などで児童を受け入れている学校もあり、そこでは教職員も支援やケアに当たっている。

急な休校、働き方が変わった !?

とはいえ、多くの教員は、例年よりも、かなりゆとりがあるのは確かではないだろうか。定時で帰れるようになったという声も多く聞く(前述の通り、学校や地域、職種により違いはある)。中高では、部活動も基本休止になっているから、そこはすごく大きいと思う。

おそらく、家族と過ごす時間や家事・育児ができる時間、あるいは趣味の時間(コロナの影響でできないこともあるが)は、増えた人が多いのではないだろうか。たまに学校から教育委員会に異動したばかりの人から、「土日フリーになって、どう過ごそうか困った」という話を聞くことがあるが、今回、それに近い感想を持つ人がいるかもしれない。

今回の休校の意図せざる効果と言えるかもしれないが、教職員にとって、日々の働き方を見つめ直す大きなチャンスになると、私は捉えている。読者の皆さんの実感はいかがだろうか。

4月は例年よりも難易度が増す?

つまり、こういうことだ。価値観は人それぞれではあるが「家族と過ごす時間もいいな」「児童生徒のことはもちろん大事だけど、やはり自分の子供とも向き合いたいな」「自分の好きなことに時間を使うと幸せ」などと感じた教職員も少なくないかもしれない。

これは大きな体験学習と言えそうだ。ぜひ、4月以降もこの感覚は忘れずにいてほしい。

ただし、楽観視はできない。4月は例年に増して大変になることは目に見えている。3月に進める予定だった学習などの積み残しもあるし、小学校では新学習指導要領になって教科書も新しくなっての授業だ。

休校中と春休み中の過ごし方も、各家庭、各児童生徒によってまちまちで、学習習慣から遠ざかった子もいるだろうし、バリバリやっていた子もいるだろう。ひょっとすると、つらい思いをした子がいるかもしれないし、ストレスをためている子がいるかもしれない。

4月からの授業や児童生徒へのケア、学級運営は、例年に増して難易度が上がっている、と思うのだ。

「ここは教師の腕の見せどころですね。3月のうちから、ある程度準備できることはしておきましょうね」と書こうかと思ったが、自分の認識は甘い、とも思った。人事異動の時期でもあるし、新規採用者も来る。大量採用の地域も多いから、各校で2、3人の新人を受け入れるところもあろう。

こうなると、入学式、始業式までにどれほど準備ができるか、心もとない部分もあるし、走りながら軌道修正していく部分もあろう。経験だけがものを言う世界ではないだろうが、やはり経験のある人は、若手教員へのケア、支援などにも尽力してほしい。

文科省や教育委員会には、不要不急の調査や事務作業は、4月の学校に振らないようにお願いしたい。副校長・教頭、主幹教諭らには、人材育成と児童生徒へのケアに時間のウエートを置いてもらいたいからだ。

各教員にとっては、もちろん、どうしても時間がかかることも多いだろう。授業準備も職場での人材育成も、簡単なことではない。だが、前述した、ゆとりのある過ごし方の良さも思い出していただき「時間をかければかけるほどいい」という発想から脱却して進めてほしい。

4月にまた余裕のない日々に戻ってしまうのか、幸せな日々を続けられるのか、試されている。


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