日常でもオンラインでもデジタル教科書・教材を活用 熊本県高森町立高森中学校

学校現場では新型コロナウイルス感染症予防対策を見据えながらの教育活動を余儀なくされ、日々の授業においてICTの効果的な活用がより求められている。そのような中、ICT環境整備を着実に行い、教育活動に大きな成果を挙げているのが、熊本県高森町立高森中学校である。

日頃の授業だけではなくコロナ禍においても、指導者用デジタル教科書・教材(以下デジタル教科書・教材)などのソフトやテレビ会議システムを活用し、効果的なオンライン授業を実現させるなど着実に成果を積み上げている。同校の取り組みに関して、藤岡寛成校長、英語担当の福本洋教諭、技術科・ICT担当の猿渡裕幸教諭を取材した。

【協賛企画/東京書籍株式会社】


日常でのデジタル教科書・教材の活用

同校では2012年度からデジタル教科書・教材を導入している。今では全教科で活用、19年4月には生徒1人1台のPC環境が整備された。

日頃の授業でのデジタル教科書・教材の活用

福本教諭はメリットに関して「焦点が絞りやすく視覚的な効果が大きい。何度でも書いたり消したりできる。重要なポイントをかくすことで、覚えさせたいことを習熟させやすい。リーディングのスピードの調整や強弱の表示ができ、生徒の理解度や学習到達度に合わせて授業が展開できる」と指摘する。

その上で、日常での活用に関しては「『見せること』については、英文全体を提示したり、単語・熟語・センテンスなどを部分的に抽出したりしている。『書くこと』については、重要ポイントにラインを引いたり、補足説明を記入したりしている。『かくすこと』については、重要表現などの一部をかくし、小問題のワークとして活用し習熟を図っている。『動かす(動的なこと)』については、生徒の様子や理解度を確認しながら、リーディングのスピードを調節し、『音調曲線』の機能を使いリーディングの強弱をつけながら音読させている」とポイントを話す。

このように状況に応じて的確に使いこなしているのである。

オンラインでのデジタル教科書・教材の活用
藤岡校長

藤岡校長は「ICT環境整備に恵まれていたことに加え、高森町が20年3月にWi-Fiが未整備の家庭にポケットWi-Fiを準備した。これにより休校措置が始まった3月には、テレビ会議システムを活用してオンライン授業を展開することが可能になった。しかし、コロナ禍という想定外の事態に現場の教員は、授業についてこれまで以上に工夫を凝らす必要に迫られ、不安もあった」と当時を語る。

デジタル教科書・教材の活用も例外ではない。その点について福本教諭は「日常と同じように、という思いがあった。テレビ会議システムを使いながら画面を提示し、画面を共有した生徒たちに書き込みをさせるなどの活用が中心であった。日々、失敗点や成功点を教員間で共有し議論して改善を図ってきた」と振り返る。

福本教諭

次いで猿渡教諭もオンライン授業の展開につき「『見せること』や『書くこと』だけにとどまらず、画面越しに生徒自身の考えを発信させたり、他の生徒の考えを共有させたりすることが大切で、課題解決型・参加型の授業を意識しながら活用することがオンラインでは求められると思う。また授業支援システムなどの活用も有効であろう」とポイントを指摘した。

オンライン授業の成果と課題
猿渡教諭

オンライン授業の留意点について猿渡教諭は「相手の立場を意識し、声のトーンにも配慮し、ゆっくり話すことが重要。教員側は板書などを映す際に文字のサイズを配慮しながら対応するために、拡大・縮小がしやすい実物投影機を活用するなどICT機器を効果的に使うこと。生徒には話さない時はミュート(音声を出さない機能)にすること。質問がある場合はチャット機能を活用して質問することなどのルールを意識させること」などと述べた。

また、福本教諭は「画面上、生徒の表情は読み取れるが、英語の授業ではライティングの確認がしにくい。実際に書いたものを提示させることも必要」と見落としやすいポイントを指摘した。

オンライン授業でのデジタル教科書・教材の活用

オンライン授業の成果について猿渡教諭は「生徒は休校期間中に生活のリズムができたし、教員は常に生徒の顔や表情を確認できた。学習面では、生徒に任せきりにならずに済んだ。さらに、生徒総会やPTA活動もオンラインの有効活用で対応可能になった」と多岐にわたることを指摘した。

課題に関しては「評価面において生徒の学習進捗(しんちょく)状況が見えにくいので正確に把握できるようにする必要がある。生徒たちが協力して学習を進めていけるように学習リーダーを育成していくことも必要」と解決策を見据えながら日々取り組んでいることを強調した。

福本教諭は「オンラインは異文化交流も実現できる。現在町の事業として、2年生全員を対象にフィリピンのネイティブスピーカーとオンラインでつなぎ、タブレットPCを通して、生徒とマンツーマンで英会話をしていく取り組みを週2回実施している」と新たな可能性も語った。

今後の教育活動を見据えて

今後の教育活動の展望については、「教育活動や事務作業などの効率化、そして最終的には教育効果の最大化を目指しながら、校内外の全ての教育活動においてICTの活用を推進していきたい」(藤岡校長)、「ICTを一つの手段として生徒の人間性や学力を育んでいきたいし、教員間でアイデアを出し合っていきたい」(福本教諭)、「生徒たちが授業を受ける際、ICTは考えるツールであってほしいし、考えるきっかけにしてほしい。また学校業務の効率化にもつながってほしい」(猿渡教諭)などとさらに発展させていく考えであることを熱く語ってくれた。


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