急がれるICT環境整備

優先順位踏まえた管理職の役割と活用推進のための方策

東京都墨田区教育委員会教育情報化推進専門員 渡部 昭

GIGAスクール構想で整備のフェーズが変わった!

文科省は、2022年度までに学習者用コンピュータの整備は、「3クラスに1クラス程度の整備(1日1コマ程度、児童生徒が1人1台環境で学習できる程度の環境の実現)」を目標としてきた。

ところが、19年12月5日に閣議決定された「安心と成長の未来を拓く総合経済対策」において、「23年度までに、全学年の児童生徒一人一人がそれぞれ端末を持ち、十分に活用できる環境の実現を目指す」ことが示された。

さらに、昨年12月19日、萩生田光一文科大臣が発表したメッセージでは、「1人1台端末環境は、もはや令和の時代における『スタンダード』であり、特別なことではありません」と記されている。

いよいよ1人1台の学習者用情報端末の時代がやって来た。これは、ICT機器の活用が「教師の教具」から児童生徒の「学びの文具」に変わっていくことを意味するものと捉えたい。

早急に自治体内でのコンセンサスを!

諸外国のICT整備状況を考えると日本は明らかに出遅れている。また、日本ではICT整備状況の自治体間の格差が大きい。1人1台が整備されている自治体がある一方で、端末1台を15.8人の児童生徒で使用している自治体もある。(「平成30年度教育の情報化の実態等調査」)今回の整備はこのような格差をなくすことが大きな目標になっている。

「取りあえず1人1台の整備をしよう。便利なものなのだから1人1台の環境が揃えば、それに呼応したサービスが提供され、活用も進むであろう」という声も聞く。

しかし、それでは整備しただけで活用されるのかという不安は払拭されない。「ICT整備を目的化してはいけない。ICTを活用して何を実現するのか、どんな課題を解決するのかを明確にしつつ整備すべきである」という声に耳を傾けたい。

まず、各自治体でICT整備担当と活用を進める部署とのコンセンサスを得ること。自治体によっては、同一部署で行っている場合もあるがそうでないところも多い。さらに首長部局とのすり合わせも必要になってくる。

大切なことは、「1人1台整備して何をするのか」そのために「どんな整備をするのか」をそれぞれの地域の子どもたちを見据えて議論し、意思統一を図ることである。短期間ではあるがそれを実行しつつ、整備計画、活用計画を作成することが急務である。

1人1台情報端末を児童生徒の「新しい学びの道具」へ!

3人に1台の情報端末と1人1台の情報端末はどこが違うのか?

調べたい時にいつでも調べられる。調べた情報を交換したい時にいつでも情報交換することができる。まとめたい時にノート代わりにまとめておくことができる。前に調べた資料が必要な時はいつでも呼び出すことができる。まさに文房具である。文房具として活用するには、できるだけ制限をしないことである。

ICT活用を授業に限定しないで様々な場面で活用できるようにすること。それこそが「文房具化=新しい学びの道具化」への近道である。

全校体制でカリキュラム・マネジメントの実施を!

1人1台の情報端末が整備され、活用できる通信ネットワークが構築されたなら、どう活用するかを決めるのはそれぞれの学校である。各学校におけるカリキュラム・マネジメントが重要になる。カリキュラム・マネジメントの下記の3つの側面を押さえ、管理職がリーダーシップを発揮して実施していくことが求められている。

(1)教科横断的な視点

(2)教育課程の編成、実施、評価、改善のPDCAサイクルの確立

(3)人的・物的資源等の効果的な活用

ビジョンを共有する継続的な研修を!

教育の情報化の進展は目まぐるしい。学校も絶えず新しい情報を取り入れる環境でありたい。特に学校の管理職やICT活用を推進する立場にある教員にはそのような研修を確保すべきである。

ICTマネジメント校長・副校長研修会の様子

墨田区では、2011年度より、「ICTマネジメント研修会」を継続して実施している。この研修は、日本教育工学協会(JAET)が行っている「学校におけるICT活用のための管理職研修プログラム」の墨田版である。校長、副校長、ICTリーダー、主幹教諭の悉皆研修として実施している。

講師はJAETに所属する大学の先生らである。各学校4~6人の教員がこの研修を毎年受講している。ICT活用の現状と課題、世界のICT事情等の情報を管理職だけでなく幹部教員なども共有することは、各学校の教育の情報化の推進には欠かせない。

GIGAスクール構想をSociety5.0時代を生きる子どもたちの「新しい学びの創造」の機会と捉えて一歩でも前に進めたいものである。

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