主権者教育の充実を図る 文科省の学校図書館施策【学校図書館特集】

新聞複数配備に財政措置 学校司書の配置を拡充へ
【第5次学校図書館図書整備等5か年計画】

今年度から平成33年度までの「第5次学校図書館図書整備等5か年計画」には、地方財政措置として総額約2350億円、単年度約470億円が計上されている。これまで4次にわたる整備計画の名称に「等」の文言を加え、学校図書館図書標準の達成、学校図書館への新聞複数配備、学校司書の配置の3つを併せて措置していく。

学校司書の配置については、5か年計画の中に新たに位置づけられた。また選挙年齢が18歳以上に引き下げられたのを受け、高校に初めて新聞配備に係る措置が行われた。

学校図書館図書標準の達成については、5年間で約1100億円、単年度で約220億円が措置される。内訳は増加冊数分が総額約325億円、更新冊数分が同約775億円。増加分については、基準を満たす学校の増加で、これまでよりも措置額は減額しているが、社会の変化と学問の進展の中で、社会科学や自然科学分野は、これまでの更新実績の30年から10年を前提に縮められた。変化の影響が少ない文学はこれまでと同様。

新聞配備については、主権者教育に関連して拡充した。小学校は現行と変わらず1紙だが、中学校は1紙から2紙に増加。高校では、多面的な意見を多く取り入れる機会を増やそうと、初めて新聞を4紙配備する。5年間で総額約150億円、単年度約30億円が措置される。

学校司書の配置については、総額約1100億円を措置。これにより、小・中学校で、学校司書1.5校に1人が配置される見込みとなった。

昨年度が最終年となった第4次学校図書館図書整備5か年計画では、学校図書館図書標準を達成している学校は、27年度末で小学校が66.4%(前年度60.3%)、中学校が55.3%(同50.0%)だった。新聞を配置している学校は、小学校41.1%、中学校37.7%、高校91.0%だった。司書教諭は、小学校99.3%、中学校98.3%、高校96.1%で、全校種で9割以上であった。

また文科省調査によると公立学校の学校司書配置状況(28年4月1日現在)は、小学校59.3%、中学校57.3%で、6割を切っており、いまだに十分とはいえない現状が明らかになった。高校では66.9%と7割に迫っている状況だ。


新学習指導要領でますます重要 学習・情報センター機能など強化
【学校図書館ガイドラインでも指摘】

新学習指導要領では、「主体的・対話的で深い学び」を充実させ、資料選択や情報収集を支援する、学校図書館の役割が重要になってくる。

こうした点から、学校図書館には、読書センターとしての役割だけでなく、情報活用能力を育成する情報センター、資料の充実を図る学習センターの3機能を強化するよう求められている。また障害の有無にかかわらず、児童生徒が共に学ぶインクルーシブ教育などの推進も明記された。

文科省が昨年11月に策定した「学校図書館ガイドライン」では、問題解決能力などを育み、調べ学習や活発な議論、話し合いなどを実現させるために、学校図書館の機能である読書・学習・情報の各センター機能の強化が打ち出されている。

この中の情報センターについては、情報の収集・選択・活用能力を育成するために、教材・機材や、授業構成に関する教員支援などが示されている。学習センターに関連しては、児童生徒が登校時から下校時まで、学校図書館を開館するよう要請した。さまざまなメディアに触れられるように、書籍だけではなく、視聴覚資料(DVD・CDなど)、新聞、雑誌、模型といった資料を充実させる必要があるとした。

またインクルーシブ教育を見据え、発達障害を含めた障害のある児童生徒に対応した点字図書や音声図書、拡大文字図書などのほか、外国籍の児童生徒に向けた外国語の図書など多様な図書資料の必要性を明示した。

平成32年度から全面実施となる小学校学習指導要領では、3、4年生で外国活動(英語)が行われるほか、5、6年生で教科化される。これらを踏まえて、音声や動画といったデジタル教材の充実を強調した。

学校図書館の効果的な活用には、人の配置は欠かせない。事典の活用や選書、調べ学習の準備などを進める学校司書の配置の推進のほか、地域のボランティアを活用するよう提案している。
蔵書構成にも言及。小説やまんがなどに偏っている状況について、自然科学や社会科学の図書をバランスよく選定するよう求めている。

このほか、外部評価を入れるためにコミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)を活用して、学校図書館の在り方を評価に加えることも視野に入れている。


学校司書養成でモデル課程 高度な専門性を重視し設定

改正学校図書館法では、努力規定だが、学校司書の配置が記述されている。文科省の有識者会議は昨年11月に、大学や短大に設ける「学校司書のモデルカリキュラム」を明示した。ここでは、学校図書館の運営改善や児童生徒の支援に関する科目の履修が求められた。

教育の場がフィールドとなる学校司書には、高度な専門性が要求される。公共図書館の知識だけでなく、学校図書館独自の知識が必要となる。

モデルカリキュラムでは、学校図書館の運営や児童生徒の教育支援に関する科目の受講が求められ、10科目20単位が必要となる。このうち、学校図書館分野の「学校図書館概論」では、学校図書館法や著作権法などの法令、教育行政での学校図書館の機能全般を学ぶ。

すでに司書の資格を有しており、学校司書として勤務している場合には、「学校教育概論」や「学校図書館サービス論」などの科目は、一部の科目と読み替え可能となっている。

平成27年4月1日に施行された改正学校図書館法第6条第1項には、学校には司書教諭のほかに、学校図書館の運営の改善と向上を図り、児童・生徒・教員による学校図書館利用の一層の促進に資するため、専ら学校図書館の職務に従事する職員(学校司書)を置くよう努めなければならないとして、「学校司書」の配置が初めて明記された。

(参照PDF)


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