高校無償化に向けた自民、公明、日本維新の会の合意を受けて、今年4月から国公私立とも、高校生のいる世帯には所得制限なく年間11万8800円の就学支援金が支給され、2026年度から私立高校の支援金の上限額が45万7000円に増額されることなどが決まりました。長年私立高校への助成拡充を求めてきた団体や保護者からは期待の声が高まっていますが、一方で生徒の公立高校離れなど懸念も指摘されています。高校無償化を先行して進めた大阪府では公立高校の定員割れが相次いでおり、無償化による問題を指摘してきた大学教授は「丁寧な議論のないまま無償化を進めることは危険だ」と警鐘を鳴らしています。
児童生徒の自殺が起きたときの対応を巡っては、全件について学校主体で事実関係を整理する「基本調査」を行い、学校生活に関係する要素が疑われる場合や遺族の要望がある場合は、外部専門家を加えた「詳細調査」に移行することが定められています。12月18日に開かれた文部科学省の有識者会議では、自殺の要因が多様化、複雑化する中、学校生活に関係する要素(いじめ、体罰など)や遺族の要望がある場合は実施するものの、家庭要因や本人健康要因など学校要因以外である場合、「詳細調査」の対象から外すことを含めて見直し・整理すべきではないかとの論点が示されました。
文部科学省の「今後の教育課程、学習指導及び学習評価等の在り方に関する有識者検討会」は9月17日、第15回会合を開き、これまでの議論を踏まえ、学習指導要領の改訂にあたって検討すべき課題をまとめた論点整理案について、大筋で合意しました。論点整理案では、資質・能力を重視した現行学習指導要領の方向性を評価しつつ、教育課程の実施に向けた学校現場の負担感が大きいことを指摘。負担が生じる原因に向き合い、教育課程と教育環境整備が全体的に機能するようにすべきだとした上で、「総授業時数については、現在以上に増やすことがないよう検討すべき」と踏み込みました。
川崎市の市立中学校に勤務する女性教員が、コロナ禍に保育所の登園自粛要請などで子どもの世話をしなければならない場合に申請・取得できる特別休暇中、3日間、子どもを保育所に預けて数時間ずつ出勤したところ、同市教育委員会が「申請内容と異なり、子どもを預けて出勤したことは不正取得に当たる」として約28万円の返納を求めていることが分かりました。女性教員は「生徒の登校日に責任感から数時間出勤したことが不正とされ、生涯賃金に影響が出るほど返納を求められるとは納得できない」として、7月26日、同市人事委員会に支払い義務がないことの確認を求める措置要求を提出しました。女性教員は「職務を全うしようと出勤したのに、これでは頑張っている人がばかを見る状態になってしまう」と訴えています。
文部科学省の「教育データの利活用に関する有識者会議」の第22回会合が6月5日、オンラインで開かれ、文科省側からこれまでの議論を踏まえて、教育データを実際に児童生徒や教職員らが利活用する事例のたたき台が示されました。この中で児童生徒(保護者)の視点として、児童生徒が自らの学びをデータで振り返り、次の学びにつなげることに加え、保護者にもこれらの情報が提供され、子どもの状況を把握することで適切な声掛けなどが可能になることが盛り込まれました。しかしこれに対し、委員からは「いろいろなデータが保護者に筒抜けになることは、子どもにとって生きづらさや学びづらさにつながるケースもある」などと、慎重な議論を求める意見も上がりました。